2016 Fiscal Year Annual Research Report
High-energy universe by means of sub-PeV cosmic gamma rays
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15H02084
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
瀧田 正人 東京大学, 宇宙線研究所, 教授 (20202161)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 宇宙線 / ガンマ線 / ミューオン / 空気シャワー / 恒星時異方性 / 高エネルギー / 水チェレンコフ |
Outline of Annual Research Achievements |
チベット空気シャワー観測装置と世界最大(4200m2)の水チェレンコフ型地下ミューオン観測装置との連動実験を行い、世界最高感度でsub-PeV領域宇宙ガンマ線放射天体を世界に先駆けて発見することを目指す。また、その他の高エネルギー宇宙線に関する研究を行う。 本年度は、地表に設置された空気シャワー観測装置と地下2.5mに設置された世界最大の水チェレンコフ型ミューオン観測装置(4200m2)を連動させて継続観測することにより、データを蓄積した。地下ミューオン観測装置により、ミューオンを伴う原子核起源空気シャワーによる雑音とミューオンを伴わないガンマ線起源空気シャワーによる信号の弁別が可能となる。したがって、2つの観測装置の連動実験を行うことにより、sub-PeV領域宇宙ガンマ線放射天体を世界最高感度で観測できることになる。本年度は空気シャワー観測装置と地下ミューオン観測装置の連動観測の継続、観測装置の校正や保守を行い、シミュレーション及びデータ解析に従事する研究支援者1名を雇用して研究を推進した。関連する高エネルギー宇宙線の研究として、10TeVから1000TeVのエネルギー範囲にある宇宙線の恒星時異方性を観測した。数十TeVまでの宇宙線恒星時異方性はこれまでの観測結果と一致した。しかし、数百TeV領域の宇宙線恒星時異方性を数十TeV領域以下の宇宙線恒星時異方性と比較したところ、その強度は同程度であるが位相が大きくずれていくことが判明した。これらおよびその他の研究成果発表、関連実験との研究打合わせ、合同研究支援に必要な国内外旅費を使用した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
地表空気シャワー観測装置と地下大型ミューオン観測の連動実験観測データが順調に取得され、蓄積されつつある。Sub-PeV領域ガンマ線放射天体から統計的に有意な信号を観測するためには、もう少しデータを蓄積する必要がある。研究支援者によるデータ解析のツール開発も順調に進んでいる。また、関連した高エネルギー宇宙線研究により、数百TeV領域の宇宙線の北天における恒星時異方性に関して、新たな知見が得られたことは特筆に値する。
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Strategy for Future Research Activity |
地表空気シャワー観測装置と地下大型ミューオン観測の連動実験観測データをさらに蓄積し、sub-PeV領域ガンマ線放射天体から有意なガンマ線信号の探索を行う。sub-PeV領域ガンマ線を検出するためには、エネルギー分解能の向上がキー要素のひとつとなる。そのために解析ソフトウェアの開発を行う必要がある。また、関連した高エネルギー宇宙線研究も同時に推進する予定である。
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