2015 Fiscal Year Annual Research Report
沿岸構造物の維持管理戦略に資する海塩粒子付着量の推定と腐食劣化予測に関する研究
Project/Area Number |
15H02261
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
八木 知己 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30293905)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白土 博通 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70150323)
安 琳 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40576237)
高橋 良和 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10283623)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 海塩粒子 / 飛来塩分 / 腐食 / 塩害 / 凍結防止剤 / 塩分付着量 / 腐食劣化予測 |
Outline of Annual Research Achievements |
対象とする地点における気象要素及び大気中塩分濃度について,領域気象モデル等を用いて推定を試み,その結果任意の地点における気象データ・塩分濃度の確率統計的予測が可能であることを確認した.次に,結露によって生じる水滴が橋梁構造物の腐食に及ぼす影響を調査した.一般に結露で生じた水滴は,腐食を促進させる効果をもたらすが,一方で付着塩分を洗浄する効果も期待できることから,結露を考慮せずに付着塩分量から鋼材の腐食量を予測すると,腐食量が過大になる恐れもある.本研究では,鋼橋主桁表面の温度変化及び結露発生量を予測し,水滴の流下による洗浄を踏まえた部位別の付着塩分量計算を行った.その結果,結露流下を考慮することで塩分付着量の予測値がより観測値に近づくことが明らかとなった.また,橋梁断面に付加部材を設置することで,空気力学的に付着塩分量を低減させることを数値解析で試みた.対象橋梁断面は,都市高速道路における8主桁断面とした.その結果,海側となる上流側の桁端と下流側の桁間1カ所に鉛直板を設けることで,塩分の総付着量を50%に低減しかつ,維持補修のサイクルを考えた際に重要となる各桁間の付着量均一化にも成功した.さらに,コンクリート表層部への塩分侵入における乾湿繰り返しの影響を移流拡散方程式により考察し,乾湿を繰り返すことで内部の塩化物イオンの濃度及び到達域は大きくなること等が明らかとなった.当初,本研究の飛来塩分は海塩粒子のみを想定していたが,実際の橋梁の腐食においては,車両走行による凍結防止剤の飛散の影響も大きいと考え,数値解析的に検討を行った.その結果,横風の作用によって飛散範囲が水平・鉛直の両方向に拡大すること,路肩に近いほど地面への沈着量が多いという定性的な傾向を再現することに成功した.併せて,桁部の腐食のみならず支承部の腐食劣化にも着目し,腐食した金属支承の性能評価も行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初より予定していた研究テーマのほぼ全てにおいて,着実な成果が出ており,進捗状況は順調といえる.また当初予定していなかった凍結防止剤の飛来についても,海塩粒子に起因した飛来塩分と同様に重要であること,また同様のアプローチで研究できることから併せて検討することとした.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,平成27年度の研究と同様に,以下の項目について検討を加える予定である. 1.「橋梁周辺の気象要素シミュレーション」として,気象解析モデルを用いた任意の地点の気象要素シミュレーションならびに気象要素の確率密度関数の作成とモンテカルロシミュレーションを行う.2.「橋梁周辺の飛来塩分濃度の推定」として,飛来塩分濃度の正確な測定方法の検討ならびに気象解析モデルを用いた任意の地点の飛来塩分濃度のシミュレーションを行う.さらには,車両走行による凍結防止剤の飛散に起因した塩分も考慮する.3.「橋梁各部位の表面付着塩分量の推定」として,塩分付着機構に関する物理モデルの改良,橋梁周りの流れのシミュレーション手法の検討,さらには表面付着塩分量の推定方法の精緻化ならびに付着量低減方法の検討を行う.4.「降雨と結露による付着塩分の洗浄効果とコンクリート内部における浸透塩分量のモデル化」として,橋梁の各部材表面における水の流れの定性的確認ならびにコンクリート内部における浸透塩分量のモデル化を行う.5.「腐食した金属支承の性能評価」として,実際に腐食した金属支承の性能は載荷試験により評価すると共に,構造物の維持管理戦略に資するデータを収集する.
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Research Products
(10 results)