2017 Fiscal Year Annual Research Report
沿岸底生生態―地盤環境動態の統合評価予測技術の開発
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15H02265
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Research Institution | National Institute of Maritime, Port and Aviation Technology |
Principal Investigator |
佐々 真志 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 港湾空港技術研究所, グループ長 (10392979)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡部 要一 北海道大学, 工学研究院, 教授 (00371758)
清家 弘治 東京大学, 大気海洋研究所, 助教 (20645163)
高田 宜武 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 日本海区水産研究所, 主幹研究員 (30372006)
玉置 昭夫 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 教授 (40183470)
桑江 朝比呂 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 港湾空港技術研究所, グループ長 (40359229)
栗山 善昭 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 港湾空港技術研究所, 所長 (60344313)
梶原 直人 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 瀬戸内海区水産研究所, 主任研究員 (80371904)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 生態地盤学 / 地震・津波・高波 / ダイナミクス / 評価予測 / 生物多様性 / 沿岸地盤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、当該研究代表者らが先駆的に開拓・推進している生態地盤学を日本各地の砂質・泥質干潟・砂浜海岸の潮上帯から潮間帯、 潮下帯にかけて戦略的に展開し、広域地盤環境動態計測と底生生物分布・密度の一体調査、底生生物動態-地盤環境動態の統合実験・ モデリングと生物住環境診断チャートの展開に基づく予測結果の現地検証を通じて、地震・津波イベントによる地盤環境・生物相の変 化・回復過程を踏まえた沿岸底生生態-地盤環境動態の統合評価予測技術を開発・確立するものである。
上記研究目的の下、平成29年度に実施した研究内容は以下のとおりである。潮上帯~潮間帯~潮下帯にかけた広域地盤環境動態の一体計測・調査手法を用いて、これまで調査観測を実施してきた熊本県富岡湾干潟と新たなフィールドである干潟・砂浜海岸の福岡県和白干潟、神奈川県辻堂海浜、江奈干潟、北海道斜里海浜、岩手県船越湾、及び、韓国チェジュ島サムヤン海浜において、地盤環境動態モニタリングと底生生物分布・密度調査を実施した。得られた主な成果とその意義・重要性は次の通りである。
津波による大規模地盤流動・再堆積過程が生物相の平面・鉛直分布に及ぼす影響について分析し、生物攪拌-土砂相互作用に及ぼす津波イベントの持続的影響を明らかにした。干潟・砂浜の新たな地盤環境動態評価手法、具体的には実質飽和領域を現地で同定しうる定量的な評価法を開発しその有効性を実証した。台風イベントによる生態-地盤環境動態の統合評価を実現し、当該堆積・侵食に伴うサクション動態による生物密度・分布変化の発現過程を明らかにした。さらに、干潟の大型底生生物と端脚類の間の生物間相互作用とりわけ偏利共生に果たす地盤環境動態の役割を明らかにした。又、サンゴ礫混合土の統一的な力学特性評価を実現した。以上の成果は、沿岸底生生態-地盤環境動態の統合評価予測技術の確立に大きく寄与するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、潮上帯,潮間帯から潮下帯に至る干潟堆積構造調査法および干潟・砂浜の新たな地盤環境動態評価手法を構築しその有効性を明らかにすると共に、サクション動態効果を取り込んだ数値漂砂モデルを構築し、前浜地形動態予測に適用した結果、同予測能力を実証している。さらに、生物住環境診断チャートを不飽和域を含めて拡張し、干潟・砂浜域の多様な底生生物を対象としたこれまでの現地観測事実と良く整合することを示した。又、高波及び台風イベントによる大きな地盤環境改変に伴う生物動態・分布変化が,生態地盤学の知見・予測と見事に整合するかたちで定量的に発現することを明らかにしている.そして、多種多様な生物住環境診断チャートを活用した干潟の新たな維持管理手法を開発した。さらに、地震津波による海底地盤環境動態と潮下帯生物生態の間の明確な関わりを明らかにすると共に、干潟の生物間相互作用に果たす地盤環境動態の役割を明らかにしている.これらの成果は、沿岸底生生態-地盤環境動態の統合評価予測技術の確立に大きく寄与するものである。従って、本研究課題は、おおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き本研究課題を強力に推進していく。具体的には、30年度は、地震液状化が浅海域の多様な生物相に及ぼす影響について現地実態及び実験を通じて明らかにする。また、幅広い潮差及び潮汐変動下の海浜の広域地盤環境動態モニタリングと底生生物分布・密度の一体調査を実施する。さらに、干潟の生物間相互作用に及ぼす水理・土砂動態の影響について詳しく分析すると共に、イベント堆積環境が生物活動条件に及ぼす影響を一連の生態地盤実験により検証する。そして、生物住環境診断チャートの展開に基づく沿岸底生生態-地盤環境動態の統合評価予測プラットフォーム構築を進めていく。
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Research Products
(24 results)
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[Journal Article] Facultative commensalism of a free-burrowing urothoid amphipod with a deep burrow-dwelling callianassid shrimp in intertidal sand2018
Author(s)
Tamaki, A., Kagesawa, T., Takeuchi, S., Ohashi, H., Yang, S. and Sassa, S.
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Journal Title
Marine Biology
Volume: 165
Pages: 1, 15
DOI
Peer Reviewed
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