2018 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular analysis of acquired resistance to targeted therapies and search for overcoming drugs
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15H02368
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Research Institution | Japanese Foundation for Cancer Research |
Principal Investigator |
藤田 直也 公益財団法人がん研究会, がん化学療法センター, 所長 (20280951)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 癌 / 薬剤反応性 / 融合遺伝子 / 分子標的治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
キナーゼ融合型がん遺伝子を標的にした阻害薬は、その融合がん遺伝子が陽性の進行がんに対して劇的な腫瘍縮小効果をもたらすため、大きな注目と期待が集まっている。しかし、ほとんどの症例では阻害薬が効かなくなるという獲得耐性が徐々に生じ、完治につながる症例は稀である。そのため、獲得耐性の分子機構の解明と耐性化したがん細胞に対しても腫瘍縮小効果を示す克服薬の開発は現在の大きな課題である。 2018年度の本研究では、ALK融合遺伝子陽性の肺がんに対する第一選択薬として現在用いられている第2世代ALK阻害薬Alectinibに対して耐性化したAlectinib耐性症例に、次の治療薬として第3世代阻害薬Lorlatinibを投与した際に生じる重複変異の解析を進めた。その結果、Lorlatinib耐性を示すL1256F変異と新たな重複変異を見いだすことに成功した。さらに、各々の耐性変異を克服可能な薬剤のスクリーニングを進めた結果、ABL阻害薬として開発中の薬剤が有効であることを見出し、培養細胞株での検討とスパコン京を用いたシミュレーションでその薬効が確認できた。 また、これまでにROS1融合遺伝子陽性の肺がん細胞株として汎用されているHCC78細胞株は、in vitroにおいてはROS1依存性を示さず、ROS1阻害剤の評価が難しいという問題を克服するため、培養法の検討を行なった。その結果、多糖類のジェランガムを3次元培養器材として用いることで、ROS1依存性が培養系でも再現できることを見出し、ROS1阻害剤のスクリーニング系として有用であることを発見した。また、HCC78細胞株をマウスに3回繰り返して移植することにより樹立したHCC78ex3亜株を樹立することで、HCC78細胞株のマウスへの生着率の低さを克服したROS1阻害剤のin vivoにおける薬効評価系を作製することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究代表者らはこれまでに、(1)培養細胞モデル系、(2)担がんマウスモデル系、(3)再発症例由来細胞株モデル系で耐性細胞株を樹立するとともに、これまでに樹立された細胞株の遺伝子変異や活性化している細胞内シグナルの変化を次世代シーケンサーやリン酸化抗体アレイなどを用いて統合的な解析を進めることで、獲得耐性の分子機構を世界に先駆けて解明してきた。さらに2018年度には、培養細胞株での性状解析が非常に難しかったROS1依存性をROS1融合遺伝子陽性肺がん細胞株で解析するための培養法を検討することで、多糖類のジェランガムを三次元培養の培養器材として用いる手法を開発することに成功した。その結果、ROS1阻害剤のin vitroスクリーニングが可能となった。また、ROS1阻害剤のin vivoスクリーニング系も立ち上げた。さらに、同時に進めていたALK融合遺伝子陽性肺がんにおける耐性変異に関しては、薬剤スクリーニング結果をスパコンを用いたシミュレーションで再現する手法の開発にも成功しており、今後のスクリーニング効率を向上させることに成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
ALK融合遺伝子陽性肺がんについて、これまでにLorlatinib耐性を示す重複変異を発見するとともに、その克服法を発見して論文報告してきた。しかし、重複変異以外のLorlatinib耐性機構や、2次変異以外のAlectinib等のALK阻害薬への耐性化機構に関しては不明な点が多い。そこで今後は、ALKの2次変異によらない耐性化機構を中心にそのメカニズムを探索し、その耐性克服法を開発する。また、ROS1融合遺伝子陽性肺がんに対する治療薬としてCrizotinibが現在用いられているが、Crizotinibへの獲得耐性もすでに報告されている。こうした結果を受けて、世界各国で複数の次世代ROS1阻害薬が開発中となっているため、われわれも2018年度に開発した三次元培養手法などを用いて、Crizotinib耐性変異に有効な克服薬の探索を進める。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] Prediction of ALK mutations mediating ALK-TKIs resistance and drug re-purposing to overcome the resistance.2019
Author(s)
Koutaroh Okada, Mitsugu Araki, Takuya Sakashita, Biao Ma, Ryo Kanada, Noriko Yanagitani, Atsushi Horiike, Sumie Koike, Tomoko Oh-hara, Kana Watanabe, Keiichi Tamai, Makoto Maemondo, Makoto Nishio, Takeshi Ishikawa, Yasushi Okuno, Naoya Fujita, Ryohei Katayama
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Journal Title
EBioMedicine
Volume: 41
Pages: 105-119
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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