2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15H02449
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
奈良 一秀 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (60270899)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 陽介 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (30324552)
岩泉 正和 国立研究開発法人森林総合研究所, 林木育種センター関西育種場, 主任研究員 (50391701)
酒井 敦 国立研究開発法人森林総合研究所, 四国支所, チーム長 (70353696)
金谷 整一 国立研究開発法人森林総合研究所, 九州支所, 主任研究員 (90353648)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 絶滅危惧種 / 外生菌根菌 / 保全遺伝学 |
Outline of Annual Research Achievements |
環境変動や人間活動によって森林の減少・劣化が進行し、絶滅の危機に瀕している樹木は多い。近年、樹木の成長や生存には菌根菌という根に共生する菌類が決定的な役割を果たしていることが明らかになっているものの、絶滅危惧樹木と菌根菌の相互作用に関する知見は乏しい。そこで本研究では、絶滅危惧種であるトガサワラ(紀伊半島の一部と高知県東部にのみ分布)とヤクタネゴヨウ(屋久島と種子島にのみ分布)を対象樹木として 、これらと特異的に共生する菌根菌の分布や集団遺伝構造を明らかにすることを目的とする。 トガサワラと特異的に共生するトガサワラショウロはおもに埋土胞子として存在しているため、現地から採取した土壌に実生を植えるバイオアッセイ実験を昨年度実施したが、そのサンプリングを今年度実施した。バイオアッセイ実生に形成されたトガサワラショウロの菌根を採取し、DNAを抽出したのち、マイクロサテライトマーカーを用いた集団遺伝解析を行った。その結果、トガサワラショウロの埋土胞子は残存林分の近くでしか確認できず、限られた分布域を持つことが明らかとされた。また、宿主であるトガサワラよりもドガサワラショウロにおいて集団間の遺伝的分化が大きく進行していることが明らかにされた。これは樹木と菌根菌の集団遺伝構造を同時に比較した初めての研究成果である。 ヤクタネゴヨウについては昨年度現地調査を行い、トガサワラと同様のバイオアッセイ実験、および対象菌種のマイクロサテライトマーカーの開発を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度当初の達成目標は全て達成されており、研究は順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に従って研究を着実に実施する。また、最終年度にあたるため、これまでの研究成果をまとめて学術論文として投稿するほか、発展的研究計画を立案する。
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Research Products
(7 results)