2015 Fiscal Year Annual Research Report
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15H02486
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
三ツ井 敏明 新潟大学, 自然科学系, 教授 (70183960)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 秀行 公益財団法人岩手生物工学研究センター, 園芸資源研究部, 研究員 (00455247)
花城 勲 鹿児島大学, 農学部, 准教授 (30336325)
木下 哲 横浜市立大学, 付置研究所, 教授 (60342630)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 高温 / 高CO2 / コメ品質 / 玄米胴割れ / オルガネラゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題においては、温度、CO2、光、湿度を制御可能な高性能閉鎖温室やバイオトロンを用いた高温・高CO2登熟性優良系統の遺伝子発現特性の解析から白濁・胴割れ米粒発生の分子メカニズムを明らかにし、高温ストレス耐性並びに高温登熟による品質低下に関わる核ゲノムおよび細胞質ゲノム遺伝子の同定・単離、さらに、単離遺伝子のコメ品質維持に対する有効性について形質転換体や突然変異体を用いて評価する。イネの高温・高CO2応答の学術的理解を進め、高温・高CO2環境に適応するイネ品種の作出技術を確立することを目的とする。平成27年度は下記の研究を行った。 米粒の白濁化メカニズムを明らかにするため、白濁部位の澱粉顆粒構造解析、プロテオームおよび澱粉グライコーム解析を行った。走査電子顕微鏡を用いて玄米の白濁化部位の澱粉顆粒を観察したところ、大きさの異なる歪な顆粒や顆粒表面に多数の小穴が見られた。特に、高温登熟米で顕著であった。高温登熟により生じた白濁粒と整粒の同じ部位からタンパク質を抽出し、トリプシン消化後、iTRAQ標識ペプチドをnanoLC-QTL-Orbitrap XLを用いたMSn解析によって白濁粒プロテオームの特徴を調べた。その結果、高温登熟白濁粒において一群の低分子量熱ショックタンパク質が活発に誘導され、澱粉生合成関連酵素タンパク質の発現が減少傾向にあった。一方で、澱粉分解酵素Amy3Eの著しい発現上昇が観察された。高温登熟によるAmyII-3 (Amy3E) をはじめとするα-アミラーゼの発現誘導は特異抗体を用いたウェスタンブロット解析でも確認された。加えて、澱粉グライコーム解析の結果、玄米白濁部の澱粉分子構造の顕著な変化はなかったが、可溶性澱粉量と遊離グルコース量の増加が見られた。以上の結果から、高温登熟による白濁化は澱粉の合成と分解のバランスが崩れたために生じたものと推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高温登熟白濁粒の白濁部位の澱粉顆粒構造解析、プロテオームおよび澱粉グライコームを詳細に調べ、高温登熟による白濁化が澱粉の合成と分解のバランスが崩れたために生じたものであることを明らかにした。したがって、本研究課題はおおむね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画通りに着実に研究を進める。
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Remarks |
平成27年8月 高橋秀行 日本植物細胞分子生物学会「奨励賞」受賞タイトル:「リンドウの安定生産に向けてのメタボローム解析技術の活用」
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Research Products
(22 results)
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[Journal Article] Physical interaction between peroxisomes and chloroplasts elucidated by in situ laser analysis2015
Author(s)
Kazusato Oikawa, Shigeru Matsunaga, Shoji Mano, Maki Kondo, Kenji Yamada, Makoto Hayashi, Takatoshi Kagawa, Akeo Kadota, Wataru Sakamoto, Shoichi Higashi Masakatsu Watanabe, Toshiaki Mitsui, Takanori Iino, Yoichiroh Hosokawa, Akinori Shigemasa and Mikio Nishimura
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Journal Title
Nature Plants
Volume: 1
Pages: 15035
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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