2015 Fiscal Year Annual Research Report
脳機能・分子イメージングを活用した疲労・慢性疲労・抗疲労の脳科学
Project/Area Number |
15H02502
|
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
渡邊 恭良 国立研究開発法人理化学研究所, ライフサイエンス技術基盤研究センター, センター長 (40144399)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 敬 国立研究開発法人理化学研究所, ライフサイエンス技術基盤研究センター, 上級研究員 (60464616)
林 拓也 国立研究開発法人理化学研究所, ライフサイエンス技術基盤研究センター, ユニットリーダー (50372115)
田中 雅彰 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (60382199)
倉恒 弘彦 関西福祉科学大学, 健康福祉学部, 教授 (50195533)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 疲労 / 自律神経 / 神経炎症 / 酸化ストレス / イメージング / PET / MEG / MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)開発した疲労度評価質問票のデータ収集を進めた。また、MRIによる脳機能イメージング研究においても本スケールによる疲労評価を導入した。(2)慢性疲労症候群患者と同様に健常者においても脳内炎症が認められるケースがあり、慢性疲労と脳内の神経炎症は密接に関連することを示唆する結果が得られた。(3)脳機能イメージング研究から、身体的疲労と精神的疲労に共通して誘発される脳の過剰活動、防衛機構、促進機構、疲労感の想起や予測など疲労感のさまざまな側面に関する脳神経基盤を明らかにし、亜急性・慢性疲労の統合的研究の基盤となる、急性疲労の中枢神経系機構の解明に成功した。また、精神的疲労状態においては、ネガティブな感情認知の偏りが認められずうつ病や不安障害の患者と異なる様相を示すことも明らかになった。安静時脳機能ネットワーク解析からは、精神的な疲労度と関連しデフォルトモードネットワークを中心とし一部の脳部位の活動が有意に変化することを明らかにした。(4)健常者においても慢性疲労症候群患者と同様に、慢性的に疲労度が高いほど前頭前野の萎縮の程度が大きいことが明らかとなった。(5)慢性疲労症候群患者に対し、疲労評価質問票や生理学的検査を用いて多彩な臨床症状がみられる患者の臨床病態(疲労・抑うつ度、Performance Status、QOL、睡眠覚醒リズム、酸化ストレス、自律神経機能など)を評価し、慢性疲労者との対比が可能な患者データリストを作成した。(6)ラット過労モデルを用いた動物実験では、持続的な疲労負荷により肝細胞の細胞内分解系が亢進することを同定した。一方では、肝細胞に発現するいくつかの転写因子が通常と異なる発現動態を示し、持続的な疲労負荷を反映するマーカーを発見した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り研究を遂行できており、慢性疲労の分子神経メカニズムの統合的理解が進む研究成果を得ているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後さらに被験者数を収集し、信頼性の高い慢性疲労の脳分子・機能・構造機構を明らかにする。また、慢性疲労モデル動物成果からヒトの慢性疲労メカニズムを推定できるように、共通項や矛盾項についての洗い出しを行う。
|
Research Products
(17 results)
-
-
-
[Journal Article] Frontier studies on fatigue, autonomic nerve dysfunction, and sleep-rhythm disorder.2015
Author(s)
Tanaka, M., Tajima, S., Mizuno, K., Ishii, A., Konishi, Y., Miike, T., and Watanabe, Y.
-
Journal Title
J. Physiol. Sci.
Volume: 65(6)
Pages: 483-498
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-
[Journal Article] Regional brain disorders of serotonin neurotransmission are associated with functional dyspepsia.2015
Author(s)
Tominaga, K., Tsumoto, C., Ataka, S., Mizuno, K., Takahashi, K., Yamagami, H., Tanigawa, T., Kawabe, J., Watanabe, T., Fujiwara, Y., Shiomi, S., Watanabe, Y., and Arakawa, T.
-
Journal Title
Life Sci.
Volume: 137
Pages: 150-157
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-
-
-
-
[Presentation] Therapeutic effects of ubiquinol on fatigue and chronic fatigue syndrome2015
Author(s)
Watanabe, Y., Fukuda, S., Yamaguti, K., Kajimoto, O., Fujii, K., and Kuratsune, H.
Organizer
The 8th Conference of the International Coenzyme Q10 Association
Place of Presentation
Bologna(Italy)
Year and Date
2015-10-10 – 2015-10-10
Int'l Joint Research / Invited
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] 疲労による脳の構造的変化2015
Author(s)
水野敬、定藤規弘、渡辺恭良
Organizer
第11回日本疲労学会総会・学術集会
Place of Presentation
山口県総合保健会館(山口県山口市)
Year and Date
2015-05-15 – 2015-05-15
Invited
-
-