2016 Fiscal Year Annual Research Report
GBA遺伝子変異によるパーキンソン病発症機構の解明と治療法開発
Project/Area Number |
15H02540
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高橋 良輔 京都大学, 医学研究科, 教授 (90216771)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 政人 京都大学, 農学研究科, 助教 (60263125)
秋山 央子 国立研究開発法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 研究員 (80623462)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | パーキンソン病 / ゴーシェ病 / 脂質 / メダカ |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はGBA1-/-GBA2-/-メダカの解析を中心に行った。まず、GBA1-/-GBA2-/-メダカの表現型の解析を行ったが、生存期間、ドパミン/ノルアドレナリン神経細胞脱落の程度は、GBA1-/-メダカと比較して改善は認められなかった。しかし、GBA1とGBA2変異メダカの脳脂質解析を行ったところ、興味深い知見が得られた。まず、GBA1-/-GBA2-/-メダカはGBA1-/-メダカと比較してGlucosylceramideがさらに蓄積していた。GBA1-/-メダカで増加していたβ-CholesterylglucosideはGBA1-/-GBA2-/-メダカで低下しており、GBA1-/-メダカでは蓄積したGlucosylceramideを基質としてGBA2がβ-Cholesterylglucosideを産生していると推測された。一方、新規脂質Lipid Xに関しては、脳内で主にGBA2が代謝に関わっていることが判明した。既報告で毒性を持つとされているSphingosineはGBA1-/-GBA2-/-メダカでさらに増加しており、GBA1-/-GBA2-/-メダカの表現型が改善しなかった一因と考えられた。このSphingosineの産生にGBA3が関わっている可能性を考え、GBA1-/-GBA3-/-メダカの予備解析を行ったが、行動異常を示すまでの期間については改善が見られなかった。最後に、GBA1-/-GBA2-/-GBA3-/-メダカの作製と解析のため、GBA2+/-GBA3+/-メダカを新たに作製した。 また、α-syn BAC Tg・GBAヘテロKOマウスにおいて特にリン酸化α-synの蓄積が見られる嗅球のマイクロアレイを行った。結果として、オートファジー関連遺伝子やシナプス関連遺伝子など、いくつか興味深い遺伝子の発現変化が認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた通り、GBA1-/-GBA2-/-メダカの解析を中心に行った。期待したGBA1-/-メダカと比較した表現型の改善は見られなかったが、β-CholesterylglucosideとLipid Xの脂質代謝に関して新規知見が得られた。さらに、来年度に施行予定としているGBA3が関与する脂質代謝を解析する準備を行うことができた。すなわち、GBA1-/-GBA3-/-メダカとGBA1-/-GBA2-/-GBA3-/-メダカの作製と解析の準備ができている。 また、α-syn BAC Tg・GBAヘテロKOマウスの嗅球を用いて行ったマイクロアレイの結果も解析済みである。同定した発現変動遺伝子群に着目し、GBA変異が病態にどのように関与しているかを解析する準備ができている。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、GBA1-/-GBA3-/-メダカの表現型解析の継続と脂質解析を行う。さらに、GBA1-/-GBA2-/-GBA3-/-メダカの作製と表現型解析・脂質解析を行う。以上により、GBA1, GBA2, GBA3が中枢神経で関与する脂質代謝の解明と、病態への関与を明らかにする。 また、昨年度中にα-syn BAC Tg・GBAヘテロKOマウスにおいて特にリン酸化α-synの蓄積が見られる嗅球のマイクロアレイを行った。結果として、オートファジー関連遺伝子やシナプス関連遺伝子など、いくつか興味深い遺伝子の発現変化が認められている。今年度はこれらの結果を基に更なる病態解析を行う。
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Research Products
(14 results)