2016 Fiscal Year Annual Research Report
輸入・新興感染症から医療従事者を守れ!臨床現場ガイドライン策定のための防護具研究
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15H02581
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
森本 美智子 兵庫県立大学, 看護学部, 教授 (60342002)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 伊陽子 山梨大学, 総合研究部, 准教授 (20333297)
篠原 克明 国立感染症研究所, バイオセーフティ管理室, 主任研究官 (60117356)
荒川 創一 神戸大学, 医学研究科, 客員教授 (70159490)
小柴 朋子 文化学園大学, 公私立大学の部局等, 教授 (70310399)
田辺 文憲 山梨大学, 総合研究部, 教授 (80217108)
嶋崎 典子 国立感染症研究所, インフルエンザウイルス研究センター, 研究員 (80466193)
内田 幸子 高崎健康福祉大学, 健康福祉学部, 教授 (90352608)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 防護具 / 性能評価 / ガイドライン / クリティカルゾーン / 快適性 / 温熱 / 動作 / 医療従事者 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、1.臨床現場で医療従事者が外来での輸入・新興感染症対応時の現状問題を明確のためにインタビュー調査とアンケート調査を実施した。インタビュー調査は10病院の救急部医師・ICDと救急看護師長・ICNの21人に実施。結果、救急部医師は感染対策の曖昧さが目立ち、ICDと感染認定看護師は感染教育の意識が高かった。防護具着用経験者は着衣による不快、脱衣の困難さ、教育不備と改良を望む意見を語った。アンケート調査は、感染専門家123名、84施設に実施した。結果、教育マニュアル整備のない病院は約半数、院内着脱訓練を6割が実施した。クリティカルゾーンは顔面、手肢が危険と認識した。2.防護具性能評価は防護服素材の局所加圧耐久性を評価のため、ISO16603準拠の人工血液浸透防護試験を行い防護性能と比較した結果、織物素材の方が耐久性のあることが観察された。phageウイルス定量の精度と迅速性の向上を目的にReal-time PCR系を検討した結果、有用性を確認した。局所加圧負荷の防護服素材にphageウイルス浸透防護試験を行い、局所加圧負荷前の防護性能と比較した。目視評価では合格の素材も、phage培養法・phagePCR法ではphageの漏れを認めた。これらの防護具性能評価実験は平成28年度で終了した。3.防護服素材によるウイルス、細菌の浸透防護性能評価をしたところ、細菌・ウイルスの付着性は関連性がなく、バリア性能が高評価の素材で、細菌やウイルスの付着量が多い素材があったが、手術ガウンの素材は、防護服素材よりも付着量が少なかった。4.防護服動作性に着目しパターン及びデザインを検討し、改良型防護服を製作した。温熱・快適性の着用実験の結果、素材に対する表面加工の透湿性、通気性、吸水性の差が示唆された。暑熱環境の着用実験では安静時でも衣服内湿度は上昇し、運動を停止しても下降しなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度予定の遅れ気味の調査研究(インタビュー調査とアンケート調査)について、平成28年度完結を目指し精力的に取り組んだ。しかしながら、上記研究に時間をかなり費やさなければならなかったため、平成28年度計画の実験研究がやや遅れ気味になった。理由として挙げられるのは、各当該施設で倫理申請を行ったが、倫理委員会の承認が遅れ、実験のプレテストを開始することができなく研究計画が遅れた。さらに、実験予定施設の再度工事および被験者(臨床看護師)への承諾や病院の勤務調整の困難に加え、予定期日に被験者である看護師が病気(インフルエンザ等)に罹患する事態が重なった。よって、本年度予定の実験プレテストとしての防護具着用による生理的負荷および性能評価である看護ケア時の防護具にかかる接触圧測定の研究スケジュールの一部が遅れ気味となり、ガイドラインの試案作成の着手まで至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度においては、実験施設の工事も完了し、倫理申請も承認されたことから、各防護具着用時の衣服内環境、作業効率・生理的負荷および心身への影響を比較検討し、改良型の防護具(服)の生理的負荷の評価と看護ケアにおける防護服や表面の接触圧を測定する。さらに、それらのデータを基に看護ケア後の防護服素材によるウイルス、実際の血液・尿に咬混合した細菌の浸透防護性能評価の実験を行う。加えて、防護具のガイドライン試案作成に取り組む予定である。
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Research Products
(14 results)