2017 Fiscal Year Annual Research Report
輸入・新興感染症から医療従事者を守れ!臨床現場ガイドライン策定のための防護具研究
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15H02581
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
森本 美智子 兵庫県立大学, 看護学部, 教授 (60342002)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒川 創一 神戸大学, 医学研究科, 客員教授 (70159490)
小柴 朋子 文化学園大学, 公私立大学の部局等, 教授 (70310399)
田辺 文憲 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (80217108)
内田 幸子 高崎健康福祉大学, 健康福祉学部, 教授 (90352608)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 感染防護具 / 運動性 / 圧 / 透過性 / 付着性 / 教育 / 医療従事者 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、輸入・新興感染症の医療従事者の二次感染を防ぐため、感染防護服着用時の運動機能性を改善、感染性防護服素材の細菌(菌液)付着性と透過性を評価、臨床のガイドラインの試案を目的として研究を行った。改良型感染防護服試作は一次二次改良を行い、パターン・デザイン・下着の性能評価や看護師による改良型感染防護服着用実験で動作性分析した。体位変換時に前面にかかる防護服衣服圧分布評価を行った。結果、立位時の表面接触圧は部位によって衣服圧が高く、動きにくさが示唆された。次に感染性防護服素材の違いによる細菌の透過性や菌液付着性を実験により評価は、手術用ガウン(H,J)、化学防護服(A)、感染防護服(M,TC)の5種の未使用の防護服素材を対象に、細菌が血液に含まれる場合の細菌の透過性と菌液付着性を検討した。結果、透過性の実験では血液滴下2時間後までどの素材も裏側への透過はみられなかった。次に、素材片(2cm×2cm)に細菌5×106CFU/mLを含む血液を50μL滴下し、血液を除去後、各素材表面の付着菌数を測定したこところ、MSSA、MRSA、E.coli, P.aeruginosaのいずれにおいても感染防護服TCの付着菌数が最も多く、他の素材との間に有意差も見られた。これらの結果から、防護服のバリア機能と付着性は関係がなく、患者の血液により細菌のキャリーオーバーが起きる可能性が示唆された。最後に、ガイドライン試案作成にあたり、第一線急性期病院での個人防護具の使用について、病棟内インフルエンザアウトブレイク発症時の装着等について検討した。病棟アウトブレイク事例において、職員サージカルマスク着用の徹底により、感染防護具の着脱教育の重要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度計画の実験研究がやや遅れ気味になった。理由として挙げられるのは、各当該施設で実験予定施設の再度工事により、被験者(臨床看護師)への依頼承諾が病院の勤務調整により困難を生じた。よって、本年度予定の実験であった防護具着用による生理的負荷および性能評価である看護ケア時の防護具にかかる接触表面圧測定の研究スケジュールが遅れ気味となり、ガイドラインの試案作成の着手まで至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度の研究の推進方策として、実験施設の再工事も終了したため早い時期に被験者に依頼する。①防護服の生理的負荷・着用性能評価の実験は1類感染症対策用防護服の着用快適性について、他素材を用いた実験および新たに二部式防護服の改良パターンを開発と動作・快適性の被験者実験を行う。新感染防護服を用いて、対象へ人工気候室にて、衣服内温湿度・体温・心拍数・StO2濃度を測定と官能評価、疲労度測定を行う。衣服圧評価の実験を行い、防具服の改良の改善点や効果を検討し、ガイドラインにエビデンスとして加える。②防護服の性能評価:接触圧を加えた細菌の透過性と防護性能評価を行う。防護服素材別に採取した血液尿に混合した細菌を用い表面付着性の実験、看護動作時に表面に圧を加えたカット片を対象に透過性の測定し、変化を検討する。③感染防護具のガイドライン作成:個人防護具の輸入・新興感染症に対する着脱の実際をガイドライン化するためのシミュレーションを実施する。臨床現場で有用な個人防護具の適正使用に関するマニュアル草稿に着手、推敲する。PPE素材を検討したデータを参考に、輸入・新興感染症の診療に際しての適切なPPEの使用に関する標準的な方法を検討する予定である。さらに、それらをまとめ、学会、論文発表を行う予定である。
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Research Products
(18 results)