2016 Fiscal Year Annual Research Report
世界遺産イシュケウルの物質サイクルを活用した持続可能な環境復元・管理技術の提案
Project/Area Number |
15H02634
|
Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
畠 俊郎 富山県立大学, 工学部, 准教授 (30435424)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡部 要一 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, その他 (00371758)
河内 敦 筑波大学, 生命環境系, 助教 (10582364)
末次 大輔 佐賀大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (30423619)
入江 光輝 宮崎大学, 工学部, 教授 (50451688)
水谷 崇亮 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 港湾空港技術研究所, グループ長 (70371763)
手計 太一 富山県立大学, 工学部, 准教授 (70391620)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 環境技術 / 世界自然遺産 / バイオマニュピレーション / 底質環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は輸入許可手続きを経て国内に持ち込んだ原位置底泥を対象とした濁度抑制試験と,提案手法の現地適用性評価を目的とした長期暴露試験体のイシュケウル湖内設置を行った. 濁度抑制試験では,事前に栄養塩類などの環境を整えることで炭酸カルシウム析出ポテンシャルを高めた菌体混合培養液添加によるケースと,栄養塩類と固化成分を原位置で採取した底泥そのものに直接添加することで原位置内で目的とする微生物群集構造への変化に期待したケースの2種類について実施した. 試験の結果から,事前に微生物群集構造の変化を行う場合のほうが短期に効果が得られるものの,栄養塩類および固化成分を直接添加する方法においても期間はかかるものの同程度の濁度抑制効果が期待できることが明らかとなった.効果検証を目的とした次世代シーケンスの結果においても期待している微生物群集の優先化が期待できる結果が得られていることから現地の底泥中に生息している微生物を工学的にコントロールする効果を確認することができた. この濁度低下を目的として添加する栄養塩類および固化成分の原位置への供給方法として,自己溶解性の付加を目的としてセメントを若干量添加する造粒砂の適用についても同様の試験を行った. これにより,人工物であるセメントを併用するものの目的とする成分を必要な場所に確実にデリバリーできる方法の有効性を明らかにすることができた.この造粒砂についてはチュニジア側の協力者の了解を経て実際に湖内に設置し,長期間の暴露試験を開始することができた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
原位置の底泥中に目的とする能力を持つ微生物がすでに生息していること,さらに事前の培養作業などを行わない場合においても期待する効果が得られることを室内試験の結果から明らかにすることができた. また,チュニジア側の協力を得て提案手法に基づいて作成した造粒砂を現地イシュケウル湖内に設置でき長期暴露試験を開始できたことから概ね順調に推移していると考えられる.
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は,昨年度末にイシュケウル湖心および海水の流入が確認されているTinja運河に設置した長期暴露試験サンプルの回収と目的とする炭酸カルシウムの析出が現地でも起こっているかどうかの確認を優先的に実施する計画である. あわせて,提案している塩水化メカニズムの信ぴょう性についても年2回程度の現地ADCP観測により明らかにしてくことを予定している. 加えて,暴露試験の結果が良好であった場合にはよりスケールを大きくした現地実証試験の実施に向けてチュニジア側と協議を進めていきたい.
|
Research Products
(4 results)