2017 Fiscal Year Annual Research Report
世界遺産イシュケウルの物質サイクルを活用した持続可能な環境復元・管理技術の提案
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15H02634
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
畠 俊郎 富山県立大学, 工学部, 教授 (30435424)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡部 要一 北海道大学, 工学研究院, 教授 (00371758)
末次 大輔 佐賀大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (30423619)
入江 光輝 宮崎大学, 工学部, 教授 (50451688)
水谷 崇亮 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 港湾空港技術研究所, グループ長 (70371763)
手計 太一 富山県立大学, 工学部, 准教授 (70391620)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 環境基準 / 世界自然遺産 / バイオマニュピレーション / 底質環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はイシュケウル湖内で採取した底泥に所定の配合でセメントとカルサイト析出促進能力促進効果を期待する成分を添加した新しい機能性環境修復支援地盤材料について検討を行った.本材料は,漁船航路の浚渫などにより発生した土砂を粒状化させることで施工性を向上させた後に湖底浸食が懸念されている範囲に投入し,湖内にて原位置微生物の働きを促進させ表層部にカルサイト膜を析出させることで強度増進・濁度抑制効果を期待した機能性材料となっている. 上記手法で作成した新しい地盤材料をイシュケウル湖とビゼルト湾をつなぐTinja運河に半年程度設置し,設置前後の可溶性カルシウムの形態変化や対象物内に生息している微生物群集構造の変化などについて比較・評価を行った. この原位置暴露試験の結果から,提案手法で作成した地盤材料はイシュケウル湖の実環境下でカルサイト析出促進効果を発揮する効果を明らかにすることができた. 加えて,フィールドへの適用で想定している施工方法1)乾季の水位が低下した状態で溶液を表層部に散布・固化処理を施し雨季の水位上昇後に濁度抑制効果を期待する施工方法,2)カルサイト析出能力促進機能を付加した粒状化材料を湖内水位に関係なく浸食が懸念される場所に投入・表層固化効果により濁度抑制効果を期待する施工方法,それぞれについて室内模型実験を実施し,いずれの手法においても底泥表面にカルサイトの膜を析出させる効果を確認することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題とされていた通年で湖内水位以下となる場所への適用方法として漁船の航路浚渫などで発生する土砂を機能性粒状化地盤材料として活用する新しい技術の有効性を確認することができた.湖内およびTinja運河内に設置した暴露試験体の分析結果からも着目した再結晶化メカニズムが実環境で起こっていることを確認できたため適用性はさらに高まったと考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
提案手法の基本的有効性を確認できたため,現地関係機関と協議の上30cm四方のコドラートを設置して溶液散布手法の有効性を検証する原位置試験を実施できればと考えている. なお,環境への配慮から難しいと判断された場合には室内試験にて同様の試験を行う計画である. また,暴露試験体についてはビゼルト湾とイシュケウル湖をつなぐTinja運河に設置したサンプルは回収できたが,湖内中心部に設置したサンプルは行方不明となった.今後はカラム設置個所を増やすなどしてサンプルのロスを可能な限り減らす方法について検討する計画である.
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Research Products
(5 results)