2016 Fiscal Year Annual Research Report
メタボローム技術を活用した“和野菜”の風味因子の解明と生成制御
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15H02893
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
飯島 陽子 神奈川工科大学, 応用バイオ科学部, 教授 (90415456)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 秀幸 公益財団法人かずさDNA研究所, バイオ研究開発部, グループ長 (80276162)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 和野菜 / 香気成分 / ショウガ / サンショウ / 風味 / メタボローム / 薬味 / スプラウト |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、各和野菜が持つ嗜好に関わる風味、とくに香気特性について、寄与成分の組成と生成について、着目して研究を進めている。本年度は、以下の研究実績を得た。①ショウガの主要香気成分であるcitralの生成に関与するgeranyl acetateからgeraniolへのエステラーゼ活性について、酵素レベルで確認を行った。ショウガ植物体を部位に分け、粗酵素を抽出し、酵素活性とgeraniol類(geranylacetate、geraniol、citral)の含量を比較した。その結果、部位による酵素活性の差はほとんどないことがわかった。一方、geraniol類は葉や新根茎の量が多かったことから、geraniol類の含量およびcitralの組成制御はエステラーゼ活性によるものでなく、基質量およびエステラーゼ下流のgeraniolからcitralが生成するゲラニオール脱水素酵素の活性によるものであることが考察された。②サンショウのRNA-Seqデータに対し、既知のテルペン合成酵素遺伝子配列との相同性を元に解析した結果、3つの遺伝子ZpTPS1, ZpTPS2, ZpTPS3を選抜した。大腸菌発現系を用いて組換え酵素を作製し、in vitroで酵素アッセイを行った結果、farnesyl diphosphateを基質としてZpTPS1はβ-phellandreneを、ZpTPS2はgernacrene Dを生成した。一方、ZpTPS3はgeranyl diphosphateを基質としてβ-phellandreneを生成する活性がみられた。③ゴボウスプラウトの香気特性について、他のスプラウトと比較した。主成分分析で解析を行ったところ、ゴボウ特有の香気成分の存在と、C6化合物による青臭い香気成分が特徴的であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の研究目的では、ショウガの香気生成に関与するエステラーゼの特徴、サンショウの特徴香気成分の生成機構を目的としたが、予想に反し、エステラーゼが部位特異的ではないことが分かったことと、モノテルペン合成酵素を見出したものの、最も香気寄与が高いcitronellalの生成についてはまだ進んでいない点があるからである。一方、ショウガサンショウのみならず、他の和野菜の香気特性とその組成についても進めることができた。特にゴボウおよびゴボウスプラウトの研究はかなり進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、ショウガおよびサンショウの香気成分の生成制御について調べる。しかし、ショウガの主要香気生成に関与するエステラーゼは活性が強いものの、部位による活性の違い、基質特異性があまりないことが分かっており、その活性にはいくつかのアイソザイムが関与することが推測された。そのため、遺伝子配列による酵素遺伝子を見出すのは困難であることが予想される。 また、薬味のみに焦点を当てず、ゴボウ、ミツバ、キノコ類についても、保存および調理による香気特性およびその変化について調べる予定である。
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Research Products
(6 results)