2016 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞を標的としたmRNA送達システム確立と難治神経疾患・外傷治療への応用
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15H03017
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
位高 啓史 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任准教授 (60292926)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
緒方 徹 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), その他部局等, 障害者健康増進・運動医科学支援センター長 (00392192)
小牧 裕司 公益財団法人実験動物中央研究所, 実験動物研究部, 研究員 (10548499)
筑田 博隆 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (30345219)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | mRNA / 送達システム / 神経疾患 / 脊髄損傷 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、難治性の神経疾患・外傷に応用可能なmRNA送達システムの開発および疾患モデル動物を用いた治療実験を行う計画である。キャリアを構成するポリマー分子設計最適化、搭載するmRNAのタンパク発現効率最大化、脊髄組織深層を標的とするためのレーザー照射の応用など、化学・物理学・生物学が広く融合した集学的アプローチを計画する。目標とする病態を脊髄損傷および神経原性疾患に設定し、治療実験結果に基づいて、mRNA送達システムの確立、POC取得を目標とする。 平成28年度は脊髄損傷を作成したモデルマウスを用いて、mRNA投与による治療実験を本格的に開始した。現在、以下のような成果を得ている。 1. レポータータンパク発現mRNAを精製し、調製条件を最適化したナノミセル型キャリア(PEG-PAspDET/mRNA )を用いて脊髄実質注を行うと、3日目にピークとなる持続的なタンパク発現が確認された。 2.脳由来神経栄養因子(BDNF)を発現するmRNAを精製し、脊髄損傷モデルマウスの損傷部位へ投与後、下肢の運動機能をマウス歩行解析装置(Catwalk)にて解析すると、投与後数日から無治療群と比べて有意な歩行機能改善の効果が観察された。 3.2.と関連して、歩行解析装置から得られる100を超えるパラメータをデータ解析し、マウス歩行機能を経時的に評価する新しい手法を確立した。従来の一般的な歩行機能解析手法であるBasso Mouse Scaleと比べて、マウス運動機能をより客観的・定量的に評価できる手法として、種々の応用が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
脊髄損傷モデルマウスに対する治療実験を開始し、有意な治療効果を得ていることに加え、動物実験全般にも応用可能なマウス運動機能解析の新手法を確立している。
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Strategy for Future Research Activity |
脊髄損傷モデル動物を始めとした疾患外傷モデルの治療実験を鋭意進める.キャリア調製,動物実験など実験項目は複数施設を横断して行うことになるので,緊密な情報共有,連携体制の構築を常に心がける.
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Research Products
(13 results)