2015 Fiscal Year Annual Research Report
幼児の運動能力の現状と運動発達促進のための運動指導及び家庭環境に関する研究
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15H03072
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Research Institution | National Institute of Fitness and Sports in Kanoya |
Principal Investigator |
森 司朗 鹿屋体育大学, その他部局等, 教授 (80200369)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
筒井 清次郎 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (00175465)
中本 浩揮 鹿屋体育大学, その他部局等, 准教授 (10423732)
吉田 伊津美 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (30335955)
鈴木 康弘 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 准教授 (50298296)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 家庭環境 / 運動発達 / 幼児前期 / アフォーダンス / 幼児の運動能力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、幼児前期の「運動に関する家庭環境」が幼児期の運動能力に及ぼす影響を明らかにするために、幼児前期の運動に関する家庭環境の調査を行った。対象は、全国の幼稚園・保育所・こども園の3歳児年少クラスの幼児で、65の協力園を通してその保護者に運動に関する家庭環境調査質問紙を配布した。配布した質問紙は3歳の幼児を対象にRodriguesらが作成した運動発達に及ぼす家庭環境のアフォーダンス(家庭環境が運動発達を刺激する機会)に関する質問紙の日本語版(Mori et al. 2013)に関して内容の妥当性や表記などを再検討して作成したもので、「運動をする屋外スペース」、「運動をする屋内スペース」、「運動に関する家庭での過ごし方」、「微細運動用のおもちゃの数」、「粗大運動用のおもちゃの数」の5つの下位尺度から構成されている。実施期間は、9月から12月に行った。調査の結果、全部で2004家族から調査用紙が回収された。男女の内訳は男児1045名、女児959名で、全体の平均年齢は、4歳1か月であった。5つの下位項目を4段階得点(4分位)に換算して得点化したところ、「屋外スペース」が、2.41点、「屋内スペース」が2.23点、「運動に関する家庭での過ごし方」が2.25点、「微細運動用のおもちゃ」が2.47点、「大筋運動用のおもちゃ」が2.42点であり、合計点が12.55点となった。この内、4歳児未満は、男児404名、女児374名の778家族で、「屋外スペース」が、2.35点、「屋内スペース」が2.20点、「運動に関する家庭での過ごし方」が2.28点、「微細運動用のおもちゃ」が2.38点、「大筋運動用のおもちゃ」が2.34点であり、合計点が12.36点であった。今回の結果を基に次年度は、調査を行った各幼児の運動能力測定を行い、今回の質問紙で得られた結果との関連を検討することで、幼児期の運動に関する家庭環境が運動能力に及ぼす影響を明らかにする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査園の数を当初は全国の幼稚園、保育所、子ども園の50園での調査を計画していたが、実際には65園の園で測定することが可能となり、結果として2004家族のより信頼性、妥当性の高いデータを回収することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の質問紙で得られた結果と次年度以降調査する運動能力との関連を検討することで、幼児前期の運動に関する家庭環境が幼児期の運動能力に与える影響を明らかにする予定である。また、低下傾向のみられていた幼児の最近の運動能力の現状を把握するために、北海道から沖縄にいたる約100か所の幼稚園・保育園・こども園を対象にMKS幼児運動能力検査を実施する。同時に、幼稚園・保育園・こども園の環境要因等及び家庭環境の調査を行い、幼児の運動能力低下の背景にある要因に関しても明らかにする。さらに、幼児の運動能力の発達を促進するために、幼稚園や保育所において、運動指導の内容や指導形態が、幼児の1年間(4歳児から5歳児)における運動能力の伸び率、幼児の行動傾向や動きの質に及ぼす影響を縦断的に検討し幼児期の効果的な運動指導を明らかにする。
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