2015 Fiscal Year Annual Research Report
ポリエステル系ペプチドミミックを指向したVCDによるバイオポリマー立体構造解析法
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15H03111
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
門出 健次 北海道大学, 先端生命科学研究科(研究院), 教授 (40210207)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 生体材料 / 合成化学 / 有機化学 / キラリティー / 円二色性 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)L-ポリ乳酸の詳細なVCD測定:L-ポリ乳酸は、生分解性プラスチックをはじめとした機能性素材と利用されているため、様々な分子量のサンプルが容易に入手可能である。様々な分子量のL-ポリ乳酸についてのVCD測定を実施した。IR吸収の面積を基本として規格化することで、VCDコットン効果を分子量によって強さを比較した。また、これまでCHCl3にのみによって確認されている分裂型VCDコットン効果について、様々な溶媒による効果を試みた。 2-1)L-乳酸オリゴマーの合成:L-乳酸を出発原料として、二量体の合成を行った。また、二量体をカップリングさせることにより四量体を合成、また、四量体と二量体から六量体を合成した。カルボニル基のα位のキラル中心のラセミ化をさけるため、できるだけ中性条件の保護、脱保護を実施した。同様にラセミ化をさけるような脱水縮合反応を実施した。また、NMR、キラルHPLCなどによるラセミ化の検証方法の確立を行った。 2-2)L-乳酸オリゴマーのVCD測定、理論計算:合成されたオリゴマーのVCD測定を実施した。特に、前述の結果を参考にして、カルボニル基のIR吸収をもとにした規格化のデータを用い、波数と強度を中心として、どのあたりから、固い構造、(らせんが主)を取りうるかを検討した。また、オリゴマーについてのVCDの理論計算を実施した。理論計算は、DFTによるab initio計算を基本とする。理論計算にはGaussianを使用、基底関数を工夫した。得られた理論スペクトルと実際のVCDスペクトルと比較した結果、よく一致することから、溶液中のオリゴマーの構造が確定することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的オリゴマーの効率的合成に成功しており、また、オリゴマーを用いたVCDスペクトルは、期待したものであった。学会発表などの外部発表も実施、良好な応答が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、乳酸オリゴマーの合成及びVCD測定を実施するが、カルボニル基以外の発色団として、他の赤外官能基の検討を行う。我々が開発したVCD励起子キラリティー法は、原理的には、カルボニル基のみならず、他の官能基にも、適用可能と思われる。独立した位置に吸収をもち(アサインが容易)、振動モードが単純、かつ化学的に導入が可能な官能基として、アジド基、ニトリル基、イソニトリル基、アルキンなどが候補として考えられる。 容易に誘導可能な、糖誘導体、ステロイド誘導体を用いることにより、これらの官能基が、励起子カップリングを起こすかどうか検討し、適用範囲拡大を試みる。
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Research Products
(23 results)