2016 Fiscal Year Annual Research Report
Convey the Lessons of Fukushima Atomic Plant Accident to the Vietnam relating with the Export of Atomic Plant
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15H03129
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
坂本 恵 福島大学, 行政政策学類, 教授 (90302314)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 孝治 福島大学, 経済経営学類, 教授 (10245623)
村上 雄一 福島大学, 行政政策学類, 教授 (10302316)
伊藤 正子 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (20327993)
吉井 美知子 沖縄大学, 人文学部, 教授 (30535159)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 原発 / ベトナム / 日越 / 原発輸出 / 再生可能エネルギー / 太陽光 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.ベトナム側との共同研究:9月および2月にホーチミン市ホアセン大学研究者と懇談を行い、再生可能エネルギー導入での共同研究を進めることで合意した。また、ハノイ市ではフォンドン大学研究者と懇談を行い今後の福島大学との研究協力で合意を得た。 2.国際学会での成果発表:12月にハノイ市で開催された「ベトナム学国際会議」において、研究代表者坂本恵がこれまでの原発輸出の課題と代替電力源としての再生可能エネルギーの技術移転の可能性について報告し好評を得た。 3.共同研究者は、台湾、韓国などでの現地調査を実施し、ベトナムと比較する形で日越両政府への提言策定のための最新情報を得た。 4.研究の公表にも力を入れ、国内の学会での研究発表、論文作成に尽力するとともに、3月末には「科研費中間報告書」を300部作成し、関係機関に送付した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1.これまでの研究の中で、ベトナムの研究機関、国会議員、ベトナム側地方自治体との研究協力を進め、とくに福島原発事故の課題と発生原因、避難の現状、汚染・廃炉の困難さをベトナム語に翻訳し情報発信してきたが、このような系統的・専門的なベトナム語での情報提供は他の研究に例を見ず、ベトナム側関係機関から極めて高い関心が寄せられたこと。 2.実際のベトナムの原発導入計画に関しても本研究が多大な影響を与え、11月頃から原発導入に関しては慎重な世論が形成されており、ベトナム政府の新たな決定が期待されるが、その変化の一端を担ったのは本研究であることは明らかであること。 3.さらに本研究は原発導入の課題を明らかにするとともに、代替電力源として、小規模の市民共同発電での再生可能エネルギー発電の技術移転を掲げるという新規の提案を、ベトナム政府関係機関に行っている。すでにホーチミン市において試行実施が合意されつつあるところまで到達しており、単に発電方法の問題ではなく、市民が発電に参加し売電をすることによって、現金収入を得、貧困対策に貢献可能である点がベトナムの経済発展にも貢献する可能性を秘めている
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Strategy for Future Research Activity |
研究成果公表シンポの開催(東京 500 人規模) 「日本・ベトナム両政府への政策提言」公表 最終年度となる平成 29 年度は、以下の点に重点をおく。 3 年間の基礎調査・政策立案作業を、実際の日越両政府の輸出政策に反映させていくという点を 最重要視した実効ある研究に集中的に取り組む。これは、単なる「研究報告書」作成で研究の 「まとめ」とすることを避け、研究費の実効的な社会還元をはかるための研究計画でもある。 1 研究成果公表シンポジウムの開催(東京 500 人規模)日越政府関係者、経済産業省、原子力規制委員会、(株)国際原子力開発にくわえ、ベトナム国会議員団、「ダラット原子力研究所」、「国家地質研究所」、「ベトナム社会科学院」、「ベトナム国家大学」研究者等を日本に招請し、3年間の国際共同研究の成果を報告する。 2「日本・ベトナム両政府への政策提言」公表と日越政府への履行を要求し、原発輸出を経済効果の視点からではなく、真に福島原発事故の教訓に立ち両国の発展につながる施策となるよう特に以下の点に重点を置く。 (1)原発導入と運用に係る厳格な「規制基準」の策定とベトナムでの運用履行 (2)原発導入・廃炉・万が一の事故対応に伴う膨大な費用がベトナム経済に及ぼす付加の検証と、費用対効果の公表を日越両政府に求める。 本研究は、被害の拡大によって国際的な指弾を受ける福島原発事故が招いた惨状をベトナムに率直に伝え、福島の悲劇が決して繰り返されないことを日越両政府が喫緊の責任として履行する、研究面からの支援ともなる。
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Research Products
(9 results)