2015 Fiscal Year Annual Research Report
「アラブの春」後の中東における非国家主体と政治構造
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15H03132
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
青山 弘之 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (60450516)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末近 浩太 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (70434701)
錦田 愛子 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 准教授 (70451979)
山尾 大 九州大学, 比較社会文化研究科(研究院), 准教授 (80598706)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 政治学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「アラブの春」と称される政治変動が中東地域にもたらした混乱に着目し、そのなかで台頭を遂げる非国家主体(アクター)と、「弱い国家」となった各国の主要な政治主体が織りなす政治構造の実態を解明することを目的とする。具体的には、「アラブの春」波及後の混乱がもっとも深刻な東アラブ地域諸国の政治の動静に焦点を当て、シリア、イラクで勢力を伸張する「イスラーム国」(ダーイシュ)、レバノンのヒズブッラー、パレスチナのハマースといった非国家主体がいかなる組織かを把握したうえで、既存の国家枠組みのなかで政治を主導してきた軍、治安機関、政党・政治組織、NGOなどとどのような関係を築いているのか、そしてこの関係が各国および東アラブ地域の政治や社会の安定性にいかなる影響を与えているのかを明らかにする。
初年度にあたる今年度は、分析対象時期および対象国を2011年以降のシリア、レバノン、パレスチナ、イラクとし、現地研究機関・研究者との協力関係やメディアの多角的利用を通じて、非国家主体を含む非公的政治主体、そして各国政治情勢に関する資料・情報を収集することに重点を置いた。
とりわけ、シリアに関しては、シリアの声世論調査研究センター(SOCPS)との関係構築に重点を置き、同センターの既発表レポートの入手を行うとともに、本研究の分析に必要な情報やデータ収集の可否を判断するための協議を重ねた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
シリアに関して、シリアの声世論調査研究センター(SOCPS)との関係構築が予想以上に順調に進み、2011年の紛争勃発以降、把握が困難になった人口動態や安定の度合いを確認し得るようなデータ提供を受けた。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に収集した情報を踏まえ、また国外の協力機関と連携を維持・強化し、「アラブの春」後の混乱のなかで台頭した非国家主体、そして弱体化した国家の再建をめざす政治主体の実態解明を試みる。とくに、アル=カーイダ系組織の台頭が著しいシリア、イラク、そしてレバノンに関しては、これらの組織に加えて、それらの組織と連携するイスラーム主義、非イスラーム主義の政治主体にも着目し、その編成、活動指針を解明することをめざす。
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Remarks |
「現代東アラブ地域研究ネットワーク」は研究分担者が収集した情報の公開、「シリア・アラブの春 顛末記:最新シリア情勢」は主にシリア情勢の動静把握を目的とするサイト。「Yahoo! Japan News個人」は研究分担者が科研での活動を含む研究活動の暫定的な成果を公開するために利用した。
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