2015 Fiscal Year Annual Research Report
中国一党支配体制の形成と変容:歴史的制度論からの考察
Project/Area Number |
15H03141
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
加茂 具樹 慶應義塾大学, 総合政策学部, 教授 (30365499)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 載桓 青山学院大学, 国際政治経済学部, 准教授 (80615237)
高原 明生 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (80240993)
梶谷 懐 神戸大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (70340916)
小嶋 華津子 慶應義塾大学, 法学部, 准教授 (00344854)
倉田 徹 立教大学, 法学部, 准教授 (00507361)
毛利 亜樹 筑波大学, 人文社会科学研究科(系), 助教 (00580755)
金野 純 学習院女子大学, 国際文化交流学部, 准教授 (80553982)
呉 茂松 慶應義塾大学, 法学部, 講師 (40612693)
中西 嘉宏 京都大学, 東南アジア研究所, 准教授 (80452366)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 現代中国政治 / 歴史的制度論 / 中国共産党 / 権威主義体制 |
Outline of Annual Research Achievements |
中国における一党体制支配は、いかなる制度基盤によって成り立っているのか。またそれは、時間の経過とともにどのような変化を遂げてきたのか。本研究は、中国政治を形づくる様々な政治制度に注目しながら、共産党による一党支配を成り立たせ、また変容させてきた要因について再検討を加えようとする試みである。 平成27年度の本研究では、すでに立ち上がっている定例研究会を活用し、現代中国の政治過程をつかさどる主要制度を制定し、研究代表者および分担者が取り組む具体的な研究テーマを確定した。具体的には、研究領域の分担と細部テーマとして、代議制度の形成と変容(加茂)、司法制度の展開(金野)、財政分野の制度改革の展開とその政策的帰結(高原)、中央・地方関係の特質に注目した市場制度の歴史的変遷(梶谷)、工会制度改革の歴史的文脈の新たな検討(小嶋)、共産党の社会団体管理制度の成立と変容の解明(呉)、香港が「(中国)地方」へ移行する過程の検討(倉田)、政軍関係の制度基盤の歴史的変容(林)、海軍を中心とした組織変容(毛利)をそれぞれ設定した。研究テーマの確定と並行して、前述の定例研究会をつうじて、関連文献の輪読、国内外の専門家を講師に招いた関連研究の現状と課題を確認しながら、制度変化にかんする歴史的制度論の説明について学習と議論を重ねてきている。 以上の活動をつうじて、研究メンバー間で共有された問題意識により、各研究テーマの関係性に基づいたチームで、文献資料収集や聞き取り調査などの中国での現地調査を実施した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
定例研究会については、平成27年度には9回の開催実績(①5/17、②7/15、③8/10、④9/14、⑤10/22、⑥11/26、⑦12/15、⑧1/15、⑨1/25)となる。第1回は “Politics in Time”の邦語訳者を招聘して歴史的制度論に関する理論研究の最先端についての理解を深め、第2回は“Comparative Historical Analysis in the Social Sciences”の輪読をおこなった。第3回目から第8回目までは研究会のメンバーによる研究報告会をおこなった。第9回は頼静萍南京大学准教授を招聘し、領導小組に関する歴史的制度論を踏まえた研究報告を聴取した。これらの定例研究会を通じて、研究メンバー間での議論を深め、問題意識や研究の方向性などを深く共有し、本研究課題推進のための盤石な研究体制を構築してきた。 研究会メンバーが個別にすすめている、中国現地での調査においては、その対象を国際的に多くの注目を集める中国人研究者の協力を得ることにより、一次資料に匹敵する資料として、中国の政治制度改革に関する体験的な知見および中国政治の現状を把握することができた。同時に、彼らをつうじて、中国側との広範かつ緊密な研究協力体制を維持してきている。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成27年度に構築した研究体制により、引き続き推進していく。研究代表者および各研究分担者は、具体的な制度分析を進めていき、定例研究会での検討をつうじて、研究成果の中間とりまとめを行うとともに、国内外の学会で研究成果を発表してゆく(Association for Asian Studies, in Asia あるいは日本国際政治学会等)。 この他、平成28 年12月を目処に国際的ワークショップを東京において開催する。在中国の研究協力者を招へいし、本研究課題について議論するとともに、研究の方向性および次年度の研究計画について意見交換をおこなう。本ワークショップの議論を踏まえ、引き続き、研究代表者および各研究分担者による研究テーマの検討に取り組み、定例研究会を開催していく。また、中国側の研究協力者とも継続的に連絡を取り合い、本研究課題における論点整理を進めていく。
|
Research Products
(42 results)