2017 Fiscal Year Annual Research Report
途上国における国内観光成長の歴史的背景と社会・文化的影響に関する総合的研究
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15H03147
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
稲垣 勉 立教大学, 観光学部, 特定課題研究員 (10151573)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千住 一 立教大学, 観光学部, 准教授 (50409546)
鈴木 涼太郎 獨協大学, 外国語学部, 准教授 (70512896)
須永 和博 獨協大学, 外国語学部, 准教授 (70550002)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 発展途上国 / 国内観光 / 都市化 / ポストコロニアルスタディーズ / 東南アジア / ベトナム / タイ / マレーシア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、経済成長や都市化の進展にともなって近年急成長している途上国における観光需要、ことに国内観光および日帰りレクリエーション需要を対象とする研究である。発展途上国における国内観光、都市圏日帰りレクリエーション需要の急拡大は、経済ばかりでなく、これらの需要を受け入れる地域社会にも大きな影響を与え始めている。しかし途上国は従来、主として国際観光の受入国としてみなされ、国内観光、日帰りレクリエーションの発地としての分析枠組みはかならずしも整っていない。本研究は国内観光需要の成長が顕著な東南アジア諸国(マレーシア、タイ、ベトナム、カンボジア)を事例として、領域横断的方法と各国の状況の比較を用いて国内観光の実態、その歴史的背景、国内観光が生み出す新しい観光地の分析、国内観光がもたらす経済的、社会・文化的影響の分析を行い、途上国観光の全体像を明らかにすることを目的としている。 平成29年度の研究では、前年度に引き続き、主としてベトナム、タイを中心にこれら諸国における国内観光、および国内観光の成長によって形成された新しい観光地に関するデータの収集を進めた。この結果、関連資料の収集が進み、さらに現地調査の知見から相互の比較も可能になった。また共通して見られる傾向の分析から一般理論の構築も試みている。これら一連の研究によって、途上国における国内観光を分析するための新しい視座の構築に向けた作業が進展している。同時に各国における国内観光のマクロ的動態の把握が進み、研究によって明らかになった知見を当面の成果として公表する準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の研究計画はおおむね順調に推移し、ことに調査および資料収集とその枠組み作りに関しては遅滞は生じていない。当初計画では年度ごとに対象国を定めて調査を行うこととしていたが、昨年度より年度ごとに中心となる調査対象国を定め、あわせてその他諸国の調査も並行して実施するという方針で進んでいる。これは対象国における協力機関との関係構築など、調査基盤整備を短期に行い単年度で各国の調査を完結させことは現実的ではないと言う判断に依っている。これにともない平成29年度はタイに加えベトナムでの調査を実行した。研究協力を依頼していた各国の現地大学との連携はほぼ確立しており、対象となる諸国間の比較研究が可能になりつつある。 この間、代表者は長期にわたりベトナムに滞在して調査、資料収集、関係機関との連携強化にあたり、観光関連省庁も含めた関係さらに強化した。この結果、途上国における国内観光を分析する新しい分析枠組みを構築するための資料収集、現地調査は予定通り進行し、調査計画は遅滞なく進んでいる。一方一部実態に関する報告も行うことが可能となった。しかし成果の一部である原稿8編はすでに各出版社に入稿済みであるが、編集の遅れなどのため年度内の刊行には間に合わなかった。この点を考慮して、研究スケジュールはおおむね順調に推移しているとの評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
前述の通り平成29年度の研究計画は、おおむね順調に推移したと判断している。研究運営に影響を与える大きな問題点は生じていない。国王の逝去にともなうタイ国内のレジャー自粛ムードも一段落し、国内旅行や大都市圏における都市住民の日帰りレクリエーションも旧に復し、調査のための障害はなくなりつつある。次年度はこの状況も加味し、当初予定していたカンボジアにおける調査を進めるとともに、これまでのベトナム、タイにおける調査活動を継続する予定である。 また基礎的データの収集が進展したことを受けて、研究運営の中心を現地調査と成果発表に移行させることを考えている。現地調査に不可欠な現地大学との連携はすでにかなり進展しており、マレーシア科学大学、ベトナム国家大学ハノイなどとの関係をより深化させることで、現地調査と成果発表を効果的に行うことを計画している。
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Research Products
(1 results)