2015 Fiscal Year Annual Research Report
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15H03167
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
矢向 正人 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 教授 (60239738)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
薦田 治子 武蔵野音楽大学, 音楽学部, 教授 (00323858)
遠藤 徹 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (10313280)
松島 俊明 東邦大学, 理学部, 教授 (30190458)
青木 静乃 (近藤静乃) 東京藝術大学, 音楽学部, 講師 (40425723)
高桑 いづみ 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, その他部局等, その他 (60249919)
鵜林 尚靖 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 教授 (80372762)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | データベース / 未解読楽譜 / 音楽情報検索 / アスペクト指向 / 記譜法 |
Outline of Annual Research Achievements |
古楽譜を解読し現在通用する奏法や楽譜に対応づけることができれば、多くの曲を復曲することができる。しかし、解読研究はこれまで個人ベースで進められてきたため、解読結果の公開に至らない途中段階の研究が研究者間に知られることが少なく、そのことは研究を阻む要因となっていた。本研究の目的は、それら未解読楽譜のデータを複数の研究者がインターネットで共有しながら蓄積するのに役立つ情報検索システムを提供することである。 古楽譜のオリジナルデータは画像データであるため、記されている譜字をそのまま認識することはできない。本研究では、古楽譜の譜字を中心となる文字列である「中心譜字」とその周囲の文字や記号である「付帯譜字」とに分割し、中心譜字が詞章である雅楽の歌物の譜本、平家琵琶の譜本、能楽の謡本、長唄及び浄瑠璃の正本などの研究を想定してシステムを設計し実装を進めた。システムの設計方針は次の5点である。 1) 古楽譜の研究者及び演奏家をユーザとするシステムであること。2)古楽譜に記されている未解読譜字を認識及び記述できる機能を有すること。2) 出典等の情報や楽譜に記されていない情報を付記できる機能を有すること。4) 楽譜や譜字に対する複数の解釈の入力及び編集ができる機能を有すること。5) 新たな記譜法や譜字に対応するように拡張できること。 本年度は、以上の設計方針にもとづいて情報検索システムを設計し実装までを行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画のとおりシステムを設計し実装を行なった。並行して付帯譜字が未解読である三味線譜の事例研究も進め、実装したシステムに一部のデータを入力した。やや遅れているとしたのは以下の理由による。当初はシステムの開発補助をプログラマの直接雇用により実施する予定であった。しかし当初予定していた者が事情により担当できなくなったため、プログラミングを外注により行うこととした。この交渉のための期間が当初計画に含まれていなかったため、若干の遅れが生じている。なおこの計画の変更により、研究成果の達成に支障はない。
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Strategy for Future Research Activity |
1 編集ソフトウェアの改善 制作したソフトウェアを用いて楽譜データを入力し、その結果をもとに編集ソフトウェアを評価し改善を図る。現時点で検討している主な改善点は以下のとおりである。1)曲線記号管理の画面において、曲線記号の定量的な情報を入力及び一覧表示できる機能、キーワードの任意の組み合わせにより曲線記号の譜字を検索できる機能、曲線譜字の分類番号を並べ替えることができる機能、上下左右にスペースを増やしてスクロールできる機能、行間の適切な設定ができる機能を付加する。2) 現状では中心譜字の上下左右の付帯譜字の譜字枠にそれぞれ曲線記号が一文字ずつしか入力できないので、二文字以上を入力できる機能に改善する。3)楽譜及び譜字データとそれらの解釈とを動的に合成する機能を、アスペクト指向のポイントカット・アドヴァイスの考え方を応用して設計する。 2 未解読楽譜の検討とデータ入力 前年度に続き、基礎データとなる三味線譜、雅楽譜、平家琵琶譜、声明譜、能楽譜の未解読楽譜を調査し付帯譜字として入力するべき曲線記号について検討する。検討結果をふまえシステムにデータを入力する。
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