2015 Fiscal Year Annual Research Report
3D・X線・修復調査から見る古典木彫像の制作プロセス―平安~鎌倉期―
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15H03168
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
籔内 直樹 (籔内佐斗司) 東京藝術大学, 大学院美術研究科, 教授 (10376931)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 勉 清泉女子大学, 文学部, 教授 (00150037)
仲 裕次郎 東京藝術大学, その他の研究科, 講師 (00466997)
松田 誠一郎 東京藝術大学, 美術学部, 教授 (20239031)
藤曲 隆哉 東京藝術大学, その他の研究科, 講師 (20466999)
武笠 朗 実践女子大学, 文学部, 教授 (30219844)
和田 圭子 東京藝術大学, 美術学部, 講師 (80463933)
鈴木 篤 東京藝術大学, その他の研究科, 助教 (90620873)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | X線 / 3Dデータ / 構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度における彫刻文化財調査は、鎌倉時代中期の作とも目される奈良県室生寺金堂木造十二神将のうち未神立像および辰神立像のX線撮影調査を実施した。3D計測調査では、平安時代初期の作例とされる宮城県栗原市双林寺木造薬師如来坐像のほか、「弘安七年三月」(1183)の銘があり平安時代末期の作例として知られる岐阜県横蔵寺木造大日如来坐像を対象に実施した。そのほか写真撮影調査では、前述の横蔵寺木造大日如来坐像や双林寺木造薬師如来坐像のほか、京都府知恩寺木造阿弥陀如来立像(大津市歴史博物館)、静岡県函南町実慶作木造阿弥陀三尊のうち観音菩薩立像(かんなみ仏の里美術館)、高知県雪蹊寺善膩師童子立像などを対象として実施した。 これらの調査の中でもX撮影調査では、未神立像の遊脚部材が体幹部材に段を設けてかきこむように接合されていることが明らかとなった。また写真撮影調査では、高精細デジタル中判カメラ(Phase One)による岐阜県横蔵寺木造大日如来坐像の8面写真が得られたことや、知恩寺阿弥陀如来立像の構造を想定するうえで有用な画像情報を収集することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前述のように時代判定のできる基準作例を含めた重要作例の調査を実施することができている。研究分担者であった仲裕次郎が同人の非常勤講師退職に伴い本研究から離れたが、それを補うに十分な美術史的知見を備える人物が研究分担者に複数いるため、現状の研究体制でフォローする予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度は、鎌倉時代の中でも中期から後期にかけての作例を中心に3D計測調査及びX線撮影調査を行う予定である。具体的には、以下の作例の調査実施を予定している。 東京都世田谷山観音寺木造阿耨達童子騎龍像(康円作 文永7年 1272) なおこのほか当該期の周辺作例である奈良末期の木彫像(奈良県唐招提寺木造伝薬師如来立像)の3D計測調査も、平安~鎌倉期の3D比較対象資料として実施する予定。
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Research Products
(2 results)