2015 Fiscal Year Annual Research Report
日本人英語学習者のインタラクション(相互行為)を通じた自律的相互学習プロセス解明
Project/Area Number |
15H03226
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
原田 康也 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (80189711)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | インタラクション(相互行為) / 自律的相互学習 / プライミング / 同調 / 共感 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度においては、申請時の研究計画と補助金支給額とを勘案して次の活動を中心に研究を進めた。 1. 早稲田大学におけるデータ収集 (1) 新入生3クラスの受講生60名ほどを主な調査対象として、大学入学までの英語学習経歴などについてのアンケート調査を行った。(2) 調査対象者の英語熟達度・運用能力を測定するため、語彙・文法などの知識に関する Oxford Quick Placement Test (OQPT)・英語リスニング・スピーキング自動試験 Versant English Test (VET)・英語リーディング・ライティング自動試験 Versant Writing Test (VWT) を実施した。(3) アクションカメラを様々な角度から検討して SONY HDR-AZ1 を選定し、授業時のやり取り(質問と回答など)におけるインタラクション(相互行為)を部分的に記録した。(4) アンケート回答・試験スコア・参加者が作成した各種電子ファイル・コミュニケーション活動の音声動画記録などを収集し、同意書の提出を求め、独自の識別子を用いて整理した。 2. データ分析 (1) 早稲田大学で収録した動画ならびに調査に対する応答について部分的にアノテーションを進めた。(2) すでに書き起こしたデータから応答練習ならびに質疑応答における語彙的プライミング・統語的プライミングの抽出と分析を試み、分析ツールについて検討した。 3. 国内・海外の関連分野研究者・海外共同研究者とデータの分析・解釈について研究討議を行ったほか、英語教育・言語理論・言語処理・大学教育関係の学会・研究会で研究計画の経過についての研究発表を行い、応用言語学・心理言語学・第二言語習得関連の国際会議で研究発表を目指した。また、自動音声認識・テキスト処理・動画データ解析などについて、関連する学会・研究会等での情報収集に努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. 調査対象人数は当該年度の学部の事情(入学者数・クラス編成など)に依存するため、2015年度は60名程度であったが、2016年度は90名程度である。2015年度には調査対象者の英語熟達度・運用能力の測定について、当初予定していたと語彙・文法などの知識に関する Oxford Quick Placement Test (OQPT) と英語リスニング・スピーキング自動試験 Versant English Test (VET) に加えて、当初予定になかった英語リーディング・ライティング自動試験 Versant Writing Test (VWT) を使用したが、2016年度も継続して使用予定である。 2. アクションカメラは予算的な制約もあり、収録音声の音質を重視して慎重に選定した。頭部への装着感と操作性に課題が残り、今後も運用方法に検討が必要である。特に、人数分のアクションカメラのそれぞれに MicroSD カードを装着し、収録後に一つずつ取り出してデータを転送する作業は、扱う対象が物理的に小さいため手間がかかり、神経を使う。また、選定したアクションカメラは参加者個人のスマートフォンと無線通信により撮影画像のモニタリングが可能であるが、同一空間内の使用台数が増えるとバッテリーの消耗が激しくなり、予備バッテリーを必要な個数購入する予算が確保できなかったこともあり、無線通信機能を解除して使用しているなど、さまざまな運用上の制約がある。 3. データの蓄積と共同研究者・連携研究者との共有については、ハードディスクの記憶容量当たりの単価が下がったこともあり、全く支障がない。 4. 書き起こしを含めたアノテーションについては、あらかじめ予想した通り、極めて限られたデータしか扱うことができない。 5. 学会・研究会等での経過報告については順調に実施している。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 早稲田大学におけるデータ収集についてはこれまでの実績があるので、今後も同様の方針で継続する。 2. 早稲田大学以外でのデータ収集については、連携研究者の所属する学部等の実情に応じて柔軟に対応する。 3. 書き起こしについて外注化(書き起こし専業会社への発注)を検討している。 4. やり取りの言語学について連携研究者も含めて外国語教育の実践に携わる大学教員並びに相互行為言語学研究者を交えた検討を始めている。
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Research Products
(23 results)