2017 Fiscal Year Annual Research Report
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15H03346
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
花薗 誠 名古屋大学, 経済学研究科, 教授 (60362406)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 彩子 早稲田大学, 国際学術院, 准教授 (20327696)
西村 健 駒澤大学, 経済学部, 講師 (20735229)
中林 純 近畿大学, 経済学部, 准教授 (30565792)
佐野 隆司 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 准教授 (50611208)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 調達 / オークション / メカニズムデザイン / 抱き合わせ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度においてまず、代表者花薗と分担者中林は引き続き多次元の私的情報を持つ供給者の競争モデルについて理論・計量分析を行った。とくに理論分析について進捗があり、構築したモデルがさまざまな調達に関する既存分析に応用できることを確認した。たとえば入札後の変更契約交渉について、Bajari, Huston, and Tadelis(2014)は多次元のオークションのモデルを用いて分析したものの、その均衡の存在は仮定しただけにとどまっていた。構築したモデルでは、そうした変更契約交渉を含めた入札における均衡の存在を証明することができる。また、価格を公開、所与としたうえで品質について競争入札を行う調達については、Thiel(1988) は私的情報が一次元のパラメターで表せるモデルで分析したが、構築したモデルでは、入札者の私的情報を多次元のパラメターに拡張できる。一般的に、多次元の私的情報のモデルは均衡の存在や性質の分析が困難を極めるが、構築したモデルはその困難を解決した点で、大きな貢献になると思われる。 分担者佐野は本研究における調達デザイン、およびリスク対応に関連の深い、動学的なメカニズムデザインについての研究を進め、いくつかの学会等で報告した。分担者西村は調達デザインに関わる基礎的研究をまとめ、発注者がもつ私的情報をどのように取り扱うべきかについての含意をえた。分担者鈴木は電力調達入札における抱合せの効果について実証研究をまとめ、抱合せがリスクを減らす効果などを持つことなどを実証的に確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的であげた幾つかの研究課題、及び関連する研究課題について、実績の概要で触れたような継続的に進捗が見られ、概ね順調に進展していると考えられる。ただし、入札者の異質性の考慮については、他の研究課題と比較して進捗が少し遅れていると思われる。しかし、全メンバーによるミーティング開催を通じ、メンバーの研究の進捗状況の把握、および意見交換を行っており、プロジェクトが順調に進展していることを確認している。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度にあたるため、当初の計画に従い、研究を継続するとともに、学会報告、学術雑誌への投稿など成果公表を積極的に行う。本年度もミーティング、ワークショップを開催し、研究の進展を加速するための研究交流を積極的にすすめる。
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