2016 Fiscal Year Annual Research Report
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15H03348
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 泰裕 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 准教授 (30332703)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大久保 敏弘 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (80510255)
山本 和博 大阪大学, 経済学研究科, 准教授 (10362633)
相浦 洋志 大分大学, 経済学部, 准教授 (50511177)
大城 淳 沖縄大学, 法経学部, 准教授 (00713067)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 経済政策 / 都市経済学 / 人口動態 / 空間経済学 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は以下の4つの研究成果を得た。まず、人口成長率が異なる地域や国の間で企業誘致活動などの地域経済政策を実行した場合に、資本の移動を通じた政策外部性の様子がどのように異なるか、つまり、いわゆる租税競争の結果がどう異なるかを理論的に分析した。その結果、人口が増加している場合には資本に対する課税が過少になり標準的な「底辺への競争」が生じる可能性が高いのに対して、人口が減少する場合には逆に資本課税が過大になり、「頂点への競争」が生じる可能性が高いことを示した。 次に、日本においては地域経済政策の主要な目的の一つが地域の雇用創出であることに鑑みて、労働市場における職探しを表現した枠組みであるサーチモデルを用いて、租税競争の経済厚生に対する影響を理論的に分析した。その結果、労働市場における摩擦が大きい場合、租税競争が経済厚生を向上させる可能性があることを指摘し、さらにそれが失業率を低下させることを明らかにした。 そして、都市や地域経済の規模の分布を全要素生産性、労働市場の歪み、そして、アメニティという三つの要因に分解する、都市会計の手法を複数産業の枠組みに拡張し、どの産業が日本の地域規模を規定しているかをキャリブレーションにより考察した。その結果、製造業における労働市場の歪みの地域間の違いがもっとも重要であることが分かった。 最後に、環境政策や貿易政策の企業立地への影響を、日本のデータを用いて実証的に検証した。特に、輸送費の低下のみならず、さまざまな環境政策がとられる下、あるいは通貨統合が行われた下での企業の立地や移動、企業組織の変化、貿易パターンの変化について研究した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度から開始した分析をいくつかディスカッションペーパーとして完成させることができた。まだ分析中の研究もあるが、おおよその結果が得られており、最終年度である来年度には完成させることができると考えられる。これらをすべて完成させることができれば、当初の予定をほぼ実現させることができるため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在のところ、研究は順調に遂行できているため、これまでどおりの分担で推進する予定である。理論分析と実証・キャリブレーション分析との連携もとれてきており、相互に研究成果をフィードバックさせることができたため、来年度もこのまま研究を遂行する予定である。
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Research Products
(16 results)