2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15H03354
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
新熊 隆嘉 関西大学, 経済学部, 教授 (80312099)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土居 潤子 関西大学, 経済学部, 教授 (00367947)
岡田 啓介 関西大学, 経済学部, 准教授 (70633064)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 資源・援助の呪い / オランダ病 / 民主主義 / 独裁政治 / アフリカ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は2回に分けてアフリカ出張をおこなった(訪問国:ナミビア、ジンバブエ、コンゴ民主共和国、ルワンダ共和国)。その結果、独裁者と資源を採掘する多国籍企業との癒着が経済に非常に大きなマイナスの影響をもたらしている実態が明らかになった。このうち、ジンバブエの事例は研究ノートとして発表した。 これらアフリカ諸国の訪問によって、それまで明らかではなかったいくつかの重要な論点を手に入れることができた。まず、独裁者と多国籍資源採掘企業との共謀関係によりフォーカスしたミクロ経済モデルを再構築する必要性が明らかとなった。また、今回のフィールド調査では、コンゴ民主共和国の反政府武装組織による採掘資源の密輸出に関する情報を得たが、このことは、資源が紛争の軍資金になることを防ぐ制度の構築が難しいことを示すものであった。資源のフロー管理システムの有効性を検証するため、例として紛争地域で採掘されたダイヤモンドを輸入しないための産地に関する認証システムであるキンバリー・プロセスの有効性に関する実証研究は非常に有意義なものとなるだろう。これについては今後の研究課題とする予定である。 また、本年度の実証研究においては、資源の呪いを再検証するため、各国の資源収入が制度の質にどのような影響を及ぼすのかについて研究を進めた。具体的には、石油収入の汚職水準に与える効果を、世界157ヶ国のデータを用いて実証的観点から考察した。研究成果は国際学術誌Applied Economics Lettersに近刊予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実証分析では順調に成果をあげているものの、理論分析での進捗状況は芳しくない。フィールド調査を経て、ミクロ経済モデルを再構築する必要性を実感するに至った。また、マクロ経済モデルの構築も当初の予定と比べてやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度のフィールド調査から得た知見を活かしたい。具体的には、1)独裁者と多国籍資源採掘企業との共謀関係によりフォーカスしたミクロ経済モデルを再構築すること、2)資源のフロー管理システムの有効性に関する実証研究を行うことである。また、マクロ経済モデルの構築では、本年度に達成できなかった部分について引き続き取り組む。
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Research Products
(7 results)