2015 Fiscal Year Annual Research Report
脳生理学的知見を取り入れた芸術教育における感性育成プログラムの開発
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15H03498
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
齊藤 忠彦 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (10313818)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 比出代 信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (10631187)
島田 英昭 信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (20467195)
蛭田 直 信州大学, 学術研究院教育学系, 助教 (80548230)
臼井 学 国立教育政策研究所, 教育課程研究センター研究開発部, 教育課程調査官 (00739427)
木下 博 大阪大学, 健康センター, 名誉教授 (60161535)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 芸術教育 / 感性 / NIRS |
Outline of Annual Research Achievements |
芸術教育における感性の育成に関わる評価の場面で,これまでは言語的表出を含む心理学的指標が用いられることが多かったが,本研究では,感性の育成について,脳生理学の知見を加えて検討している。科学的な根拠をもって感性を育成するプログラムを検討することが本研究の目的である。学校音楽教育の目標には,感性を育てるという内容が含まれているが,音楽を鑑賞したり演奏したりする場面で心が動かなければ,感性の育成につながることはないだろう。音楽で心が動かすことが,感性の育成の第一歩となるのではないかと考え,平成27年度の研究では,心が動く,という現象を脳血流の変化としてとらえる実験を行った。たとえば,音楽を聴いて心が安らぐ,気持ちが高揚する,ゾクゾクするなど,音楽は人間の心に何らかの影響を与えるものである。そこで,ある一曲の音楽を聴いて心が動く瞬間に注目し,そのときに大脳皮質の脳血流はどのように変化するのかについて検討した。実験では,通常の授業の環境下に近い状態での実験を行うために,NIRS(Near Infra- Red Spectroscopy)を用いた実験を行った。NIRSは,脳内のヘモグロビン濃度の変化をリアルタイムに計測することができる装置である。本研究では計48chで計測することができる日立メディコの光トポグラフィ装置ETG-4000を用いた。被験者は20代の女性とし,前頭部,右側頭部,左側頭部の3部位を計測し比較検討を行った。実験の対象曲として,1曲の中で,楽器編成が変わる,調性が変わる,強弱が変わるなど,楽曲の中で顕著な変化があるものを取り上げた。その結果,曲調が変わる場面や楽曲の頂点で脳血流が変化するという現象をとらえることができた。具体的には,側頭部のoxy-Hbの増加を確認することができ,音楽を聴いて心が動くときには側頭連合野が重要な役割を果たしている可能性を指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
感性の育成の第一歩として,心が動くという瞬間に注目し,そのときの脳血流の特徴をとらえる実験など順調に行うことができた。特に,音楽鑑賞時における心が動く瞬間について,NIRSを用いた実験結果をもとに具体的に検討を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
心が動く瞬間について,音楽を中心とした実験を行うことができたが,さらに,美術の分野,書道の分野においても,同様の実験も進めていく予定である。また,それぞれの分野における感性の育成のための具体的なプログラムの考案および,そのプログラムの検証時実験に入る予定である。
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Research Products
(1 results)