2016 Fiscal Year Annual Research Report
An International Comparative Study on Disciplinary Paradigms and Social Responsibility of Subject Pedagogy: What are the Foundations of Social Studies Researchers?
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15H03504
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
草原 和博 広島大学, 教育学研究科, 教授 (40294269)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡部 竜也 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (10401449)
田口 紘子 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 准教授 (10551707)
山田 秀和 岡山大学, 教育学研究科, 准教授 (50400122)
田中 伸 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (70508465)
南浦 涼介 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (60598754)
後藤 賢次郎 山梨大学, 総合研究部, 准教授 (10634579)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 社会科教育 / 研究方法論 / パラダイム / 教科教育学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,以下の研究を行った。 1.各国の社会科教育研究者に対して,自己の教育・研究観,社会的責任及びアイデンティティについて,聞き取り調査を実施した。①米国5名:キース・バートン,ブルース・バンスレッドライト,ジェニファー・ジェームス,ベス・ルービン,ソニア・ジェニス,②欧州3名:アロイス・エッカー,ナンナ・パースキ,シルパ・タニ,③アジアオセアニア6名:リビー・タドボール,ナム・ホヨップ,オ・ヨンジュ,コン・オヒョン,沈暁敏,楊虎。 2.各国の社会科教育研究者が教育・研究を行っている社会的・文化的な状況について,現地調査及び資料収集を行った。 3.1・2の調査結果を集約し,2017年3月4日に成果報告会を実施した。外部から4名の評価者を招聘し,データの分析や意味づけについて意見を聴取した。 4.本年度の段階では,以下のような暫定的な成果を確認した。(1)研究者と教育現場との関わり方には,個人に応じて程度の差があること。(2)その程度の差は,以下の諸条件に左右されること。①教科指導の理念や方法の在り方をめぐる学術上の言説と現実の実践との乖離が指摘される状況があるかどうか,②研究者がカリキュラムや教材等の開発を通して能動的に介入または先導したいという目的意識をもっているかどうか,③またそれを発揮することが自己の社会的責任として認知しているかどうか。言い換えると,①教科指導の理念や方法の在り方をめぐる学術上の言説と現実の実践との乖離が克服されていく状況にあるかどうか,②研究者は教師教育や調査・研究,組織づくりなどを通して間接的に教育実践の変革を支援したいという目的意識をもっているかどうか,③またそうすることが自己の社会的責任として認知しているかどうか。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年次は,世界各国の研究者の教育・研究観を少なくとも20名以上は聞き取り,データとして確定することを目標としていた。 上述の研究実績が示す通り,過去2か年で21名の聞き取り調査及び2回の成果報告会を実施することができた。緩やかな研究仮説を構築することもできた。ゆえに,当初の目標はおおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
3年次は,以下の研究を推進する。 1.各研究者が志向している教育・研究観と社会的責任を個別に解明していくこと。教育・研究の社会的・文化的な状況を同じくする複数の研究者を比較考察し,彼ら彼女らが認知している教育・研究観と社会的責任にどのような同一性や差異性が確認できるかを記述していく。 2.1に同一性と差異性が生じる理由を説明するための概念的なフレームワークを構築する。具体的には,①個人としての来歴や問題意識,学問観,②組織として期待される行動やパフォーマンス,③国家・社会として保障されている研究者・実践者の自律性,期待されている行動規範などの視点から,個人の教育・研究観と社会的責任の成立構造の説明を試みる。 3.2の考察に基づいて教科教育学の多様なパラダイムを説明する。過度な一般化・固定化に走らないように,個々人の中に成立しているパラダイムの多様性を描き出す。3の研究を推進するために,質的研究法を専門とする若手研究者を研究協力者に迎え,計21名の調査対象者をグルーピングした上で,データの分析と比較考察,意味づけを試みたい。 4.これらの成果をとりまとめ,体系化し,『教科教育学のパラダイム-教科教育学者の社会的責任とは何か-』を刊行できる準備を進める。
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Research Products
(15 results)