2015 Fiscal Year Annual Research Report
精密ラインX線観測による宇宙の大規模ガス運動の解明
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15H03642
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
石崎 欣尚 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (10285091)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田代 信 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (00251398)
辻本 匡弘 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙物理学研究系, 助教 (10528178)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | X線天文学 / 極低温検出器 / 宇宙物理 |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年度は、ASTRO-H衛星の打ち上げにむけ、つくば宇宙センターでの熱真空試験、振動試験などを含む衛星全体での最終試験に参加し、衛星上で SXS が正常に動作して目標とするエネルギー分解能が実現できていることを確認した。SXS のデジタル波形処理を行う PSP (Pulse Shape Processor) については、波形処理が適切におこなわれることを最終版のオンボードソフトで試験した。つくばでの最終試験において、ゼロ除算などのソフト上の異常処理のコーディングが適切でない箇所が共通ソフト上に見つかり、修正を行った。そのほか、衛星の姿勢制御をするためのリアクションホイールや磁気トルカからセンサへの電磁ノイズの干渉があることがわかったが、波形処理ソフトのパラメータを調整するなどすることで、性能に大きな影響のない範囲に抑えることができた。12月より衛星が種子島宇宙センターへ移動した後も、SXS機器が正常に動作することの確認および、液体ヘリウムの温度などが打ち上げ条件を満たすよう、打ち上げ直前まで衛星運用に関わった。ASTRO-H衛星は、天候悪化による1回の延期を経て2016年2月17日に打ち上げられ「ひとみ」と命名された。その後の内之浦宇宙センターからの初期運用でもSXSの立ち上げにおいて研究代表者および分担者は主要な役割を果たし、2月末にはゲートバルブ越しではあるものの、ペルセウス銀河団からのX線の観測に成功している。 PSPの明るい天体に対する処理性能については、地上でのSXS単体試験での結果をもとに、センサ全体で ~ 200 c/s までは十分に対応できることを示し、2015年7月の極低温検出器の国際学会で口頭発表を行った。軌道上でも、X線で非常に明るい天体の代表例であるかに星雲の観測が行われており、今後、詳細な解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ASTRO-H 衛星は無事に打ち上げられ、軌道上で所定の性能を発揮することを確認、一部の天体観測も行われた。現在、衛星は通信が途絶した状態ではあるが、初期データを解析して成果発表をしていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
「ひとみ」衛星は、4月現在、軌道上でのトラブルで通信が途絶し、衛星の捕捉および機能回復をめざしているところであり、これに全面的に協力する。回復ができた場合は、SXS システム全体の動作確認を行い、検出器の健全性、冷凍機の稼働状況、温度安定度などをチェックした後、X線入射ドアを開けることにしている。研究項目ごとの計画は以下の通りである。 1. 波形処理ソフトの開発およびSXS 処理系の試験:衛星上の他の機器(通信系、姿勢制御系、電源系、他の観測機器) からの干渉によるエネルギー分解能への影響を詳細に調べ、SXS の処理パラメータのチューニングを行う。合わせて、SXS の性能を最大限に発揮するような観測モードを検討、軌道上較正を行う。 2. 初期観測データの解析:衛星がトラブルを起こす前に観測された天体がいくつかあり、これらの解析を行う。特にピクセルごとのエネルギー分解能、かに星雲の観測データを用いた時刻づけ、アンチコ検出器を用いたバックグラウンド除去などについて、評価を行う。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Investigation of Surface Roughness Effect on Transition Edge Sensor Microcalorimeters Using Multilayer Readout Wiring2016
Author(s)
Kuromaru, G.; Kuwabara, K.; Miyazaki, N.; Suzuki, S.; Hosoya, S.; Koizumi, Y.; Ohashi, T.; Ishisaki, Y.; Ezoe, Y.; Yamada, S.; Mitsuda, K.; Hidaka, M.; Satoh, T.
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Journal Title
Journal of Low Temperature Physics
Volume: -
Pages: -
DOI
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[Journal Article] Temporal Gain Correction for X-ray Calorimeter Spectrometers2016
Author(s)
Porter, F. S.; Chiao, M. P.; Eckart, M. E.; Fujimoto, R.; Ishisaki, Y.; Kelley, R. L.; Kilbourne, C. A.; Leutenegger, M. A.; McCammon, D.; Mitsuda, K.; Sawada, M.; Szymkowiak, A. E.; Takei, Y.; Tashiro, M.; Tsujimoto, M.; Watanabe, T.; Yamada, S.
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Journal Title
Journal of Low Temperature Physics
Volume: -
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Future Japanese X-ray TES Calorimeter Satellite: DIOS (Diffuse Intergalactic Oxygen Surveyor)2015
Author(s)
Yamada, S.; Ohashi, T.; Ishisaki, Y.; Ezoe, Y.; Miyazaki, N.; Kuwabara, K.; Kuromaru, G.; Suzuki, S.; Mitsuda, K.; Yamasaki, N. Y.; Takei, Y.; Sakai, K.; Nagayoshi, K.; Yamamoto, R.; Hayashi, T.; Muramatsu, H.; Tawara, Y.; Mitsuishi, I.; Babazaki, Y.; Nakamichi, R.; Bandai, A.; Yuasa, T.; Ota, N.
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Journal Title
Journal of Low Temperature Physics
Volume: -
Pages: -
DOI
Peer Reviewed
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