2016 Fiscal Year Annual Research Report
精密ラインX線観測による宇宙の大規模ガス運動の解明
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15H03642
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
石崎 欣尚 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (10285091)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田代 信 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (00251398)
辻本 匡弘 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (10528178)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | X線天文学 / 極低温検出器 / 宇宙物理 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年2月に日本が打ち上げた国際X線天文衛星「ひとみ」(ASTRO-H) は、50 mK という極低温で動作するマイク ロカロリメータ SXS (Soft X-ray Spectrometer) により、世界で初めて軌道上でペルセウス座銀河団などの精 密X線分光観測が行われた。内之浦宇宙センターからの初期運用、およびその後の宇宙科学研究所からのSXSの立ち上げにおいて研究代表者および分担者は主要な役割を果たし、2016年2月末にはゲートバルブ越しではあるものの、ペルセウス銀河団からのX線の観測に成功している。「ひとみ」は、軌道上で異常が発生して2016年3月末に通信が途絶し、4月末に復旧を断念したが、その後、「ひとみ」が垣間見せたX線精密分光のサイエンスの早急な回復をめざし、日米で代替機の構想が急速に立ち上がり、2017年度中にプロジェク化される見込みである。PSPの軌道上性能、および明るい天体に対する処理性能については、2017年7月の国際学会 SPIE で発表をおこない、論文としてまとめられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ASTRO-H衛星 (2016年2月打ち上げ後に「ひとみ」と命名) は、軌道上における障害により2016年3月末に通信を途絶し、4月末に運用を断念した。しかし、一部の初期観測データ、特にペルセウス座銀河団の観測が、ガスの乱流速度、バルクな運動速度、希少元素も含めた重元素組成、衝突電離プラズマの計算機コードとの比較、共鳴散乱、銀河団中心に存在する活動銀河核からの鉄蛍光輝線幅の測定、など高精度X線分光の未来を垣間見せるものであることがわかった。また、かに星雲および Crab pulsar の観測により、PSP の処理能力を超えるような明るさ (> 250 c/s/array) の天体においても、科学的に有効な観測を行うことができることを実証し、パルス周期 33 ms で重ね合わせたパルス波形より、絶対時刻精度についても検証を行うことができた。これらの結果の一部は、Nature 論文、SPIE 論文としてまとめられた。それ以外の成果についても、Hitomi Collaboration として論文にする作業が進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
「ひとみ」は、軌道上で異常が発生して2016年3月末に通信が途絶し、4月末に復旧を断念したが、その後、「ひとみ」が垣間見せたX線精密分光のサイエンスの早急な回復をめざし、日米で代替機の構想が急速に立ち上がり、2017年度中にプロジェク化される見込みである。研究項目ごとの計画は以下の通りである。 1. 波形処理ソフトの開発およびSXS 処理系の試験:衛星上のSXSの性能、軌道上較正の結果、とくに他の機器からの干渉によるエネルギー分解能への影響、ピクセルごとのエネルギー分解能とエネルギースケール、かに星雲の観測データを用いた時刻づけ、アンチコ検出器を用いたバックグラウンド除去などを論文にまとめる。合わせて、代替機における SXS、および波形処理ソフトの改善点などをまとめる。 2. 初期観測データの解析:衛星がトラブルを起こす前に観測された天体がいくつかあり、これらの解析結果を論文にまとめる。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] In-flight performance of pulse processing system of the ASTRO-H soft x-ray spectrometer2016
Author(s)
Ishisaki, Y; Yamada, S; Seta, H; Tashiro, M.S.; Takeda, S; Terada, Y; K, Yuka; Tsujimoto, M; Koyama, S; MItsuda, K.; Sawada, M.; Boyce, K.R.; Chiao, M.P.; Watanabe, T.; Leutenegger, M.A.; Eckart, M. E.; Porter, F. Scott; Kilbourne, C.A.; Kelley, R.L.
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Journal Title
Proceedings of the SPIE
Volume: 9905
Pages: 11 pp.
DOI
Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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[Presentation] In-flight performance of pulse processing system of the ASTRO-H soft x-ray spectrometer2016
Author(s)
Ishisaki, Y; Yamada, S; Seta, H; Tashiro, M.S.; Takeda, S; Terada, Y; K, Yuka; Tsujimoto, M; Koyama, S; MItsuda, K.; Sawada, M.; Boyce, K.R.; Chiao, M.P.; Watanabe, T.; Leutenegger, M.A.; Eckart, M. E.; Porter, F. Scott; Kilbourne, C.A.; Kelley, R.L.
Organizer
SPIE Astronomical Telescopes + Instrumentation
Place of Presentation
Edinburgh, Scotland, United Kingdom
Year and Date
2016-06-26 – 2016-07-01
Int'l Joint Research