2017 Fiscal Year Annual Research Report
ミリ波帯偏波VLBI観測によるブラックホールジェットの収束機構の解明
Project/Area Number |
15H03644
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
萩原 喜昭 東洋大学, 文学部, 准教授 (60399300)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 裕介 国立天文台, 水沢VLBI観測所, 助教 (00370106)
藤澤 健太 山口大学, 時間学研究所, 教授 (70311181)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 天文学 / 電波天文学 / 活動銀河核 / ブラックホール / ジェット / VLBI |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、活動銀河核ジェットのミリ波偏波VLBI観測を日韓VLBIネットワークで出来るようにするために開発が必要なVERA(ベラ:天文広域精測望遠鏡)搭載用の43GHz(ギガヘルツ)帯周波数コンバーターの2台を、前年度から続く本研究チームによる製作により、完成させることを目標としていた。周波数コンバーターは年度半ばまでに完成し、それら単体の性能評価を実験室内で実施し、概ね期待した性能が得られていることを確認した。その後必要な機器内部の調整を行い、周波数コンバーターをVERA水沢局と入来局20m鏡に設置し、望遠鏡の観測システムに組み入れて、単一鏡としての観測性能評価を行った。さらに年度の後半には、VERA水沢局と入来局間で干渉計システムとしての性能をチェックするために、明るい電波天体を利用してフリンジ試験観測を行った。その結果、ほぼ期待した性能で観測した電波天体に対しフリンジが検出され、VERA2局が43GHz帯両偏波で、VLBI干渉計として動作することが確認できた。 また3月の後半には、韓国のVLBI網(KVN:Korean VLBI Network)とのフリンジ試験観測を実施、現在データを解析中である。また、VLBI観測データの偏波データ相関処理を進めるために、国立天文台水沢VLBI観測所に設置されたソフトウエア相関器に偏波処理機能を付加することも検討しており、短時間の試験データを利用しての試験的な相関処理を前年度に引き続き行った。フリンジが検出された後は、韓国KVNとイメージング性能の試験評価観測に移行する予定である、その後は本格的な科学観測を、おとめ座のM87銀河などの活動銀河核ジェットを持つ候補天体に対して実施して行く予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
H29年度は、2台の43GHz帯周波数コンバーターの製作と性能評価を実験室内で終え、VERA水沢・入来局20m鏡へ搭載する作業を予定していた通りに終えた。同2局間で干渉フリンジ試験観測を実施して干渉計としての両偏波同時受信観測システムから、ほぼ想定していた品質のデータが取得できたことを確認した。さらに、韓国KVNとのイメージング性能試験観測を終えることまでを予定していたが、KVNとのフリンジ試験観測の実施まで漕ぎ着けたものの、データの解析およびイメージング性能評価は年度内に終えることができなかった。今後の予定として、H29年度にできなかったKVNとの試験観測の残りは、H30年度の夏期望遠鏡メンテナンス期より前に終わらせ、当初予定していた偏波モードによるVLBI定常観測は、H30年度の秋から実施することを目標とする。以上の理由により、定常的な科学観測が実行できるまでに1年半程度の遅れが現時点で予見されることになった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、VERA2局-韓国KVNの計5局間でVLBIとしての干渉計試験観測を実施し、43GHz帯で左右両偏波同時受信ができ、交叉偏波等の性能評価をして、VLBI偏波イメージング観測ができるかどうかの評価を行う。両望遠鏡群を結合したVLBIシステムとしての性能評価を実施し、問題点があれば洗い出して対応していく。 また取得したデータが相関器で正しく偏波相関処理できるかどうかのチェックを遂行していく。 年度後半の冬期観測シーズンに向けた科学試験観測に備えて観測スケジュール等の準備も進めていく。現状では予定より1年半程度の遅れが出ているが、機器開発や国際協力に伴う研究の遅れをあらかじめ考慮した研究計画を立てており、次年度で研究の遅れを挽回することは不可能ではない。今後は研究チームの総力をあげて研究成果をあげることに努めていく。
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Research Products
(9 results)