2016 Fiscal Year Annual Research Report
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15H04044
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
渡邊 康玄 北見工業大学, 工学部, 教授 (00344424)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹林 洋史 京都大学, 防災研究所, 准教授 (70325249)
川村 里実 (山口里実) 国立研究開発法人土木研究所, 土木研究所(寒地土木研究所), 研究員(移行) (70399583)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 水工水理学 / 河川工学 / 土砂水理学 / 河道形態 / 河岸浸食 / 中規模河床波 / 節腹連続河道 / 河道内植生 |
Outline of Annual Research Achievements |
節腹連続河道の「節」を想定した狭窄部が網状流路の動態に与える影響について,定常及び非定常の給水条件で水路実験を行った.その結果,非定常給水の条件では,増水期に狭窄部上流域に土砂が堆積して下流への流砂量が減少するとともに流路本数の減少が発生した.さらに,減水時に狭窄部上流域に堆積していた土砂の一部が下流へ供給され,狭窄部からの流砂量が増加し,狭窄部下流域に扇状の砂州が形成された.また,河岸土砂の粘着性と河岸内の不飽和浸透流を考慮したブロック状の河岸崩落現象の数値解析モデルを構築するとともに水路実験を実施し,現象の数値解析による再現を試みた.その結果,河岸高さが比較的高い条件で解析モデルによる現象の再現性が高いことが確認できた. さらに,「節」である分岐部における流れの特性について,現地調査と数値計算により検討を行った.その結果,分岐が維持される箇所においては,小流量時にも旧流路側の流れがある程度確保されるとともに,減水期に流入割合が増加するという特性を持つことが明らかとなった.また,2016年8月に生起した大規模出水時において節腹連続河道において流路の交番現象が生じたが,上流部の流路変動にもかかわらず節の位置が変化しなかった.交番現象により河道攪乱を誘発させるためには,この機構の解明が重要であると考えられる. 一方,「腹」である河道拡幅部における拡幅の抑制を想定し,護岸等の固定壁で河道拡幅を抑制する場合に側岸からの土砂の供給が遮断される影響に着目した検討を行った.移動床実験において,側岸からの土砂供給が無い場合,節から節までつまり流路の分岐箇所から次の分岐箇所までの縦断方向距離すなわち波長が増大し、側岸沿いに洗掘域が延伸する過程とともに流路の分岐箇所が減少することが示された.また,上流側からの供給土砂量の大小が側岸沿いに洗掘域が延伸する影響を低減または助長することを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた28年度の課題である,「節腹連続河道の形成機構の解明」に向け,水理実験および数値実験を実施するとともに河岸浸食モデルの構築を実施し,節腹連続河道の形成機構の把握が確実に行われ,「節腹連続河道の特性を利用した治水対策手法の開発」ならびに「節腹連続河道の特性を利用した河川環境再生手法の開発」に向けて,水理模型実験及び数値解析では次のような成果を得ている.「腹」の部分で治水上護岸等で拡幅を制御する必要が出てくるが,その影響について水理実験により把握が行われている.また,数値計算では河岸崩落現象の数値解析モデルの構築に成功している.さらに,河道維持上重要な「節」での分岐に関して,現地調査によりその特性の把握が行われた.以上のことから,本研究はおおむね順調に進展していると判断される.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、前述した目的を達成するために、それぞれの項目について相互に情報を行いながら,平成27 年度および28年度の結果を踏まえて最終的にとりまとめを行う.取りまとめられた結果については,学会発表を行う. ・節腹連続河道の特性を利用した治水対策手法:現地スケールでの節腹連続河道の成立条件を明確にするとともに,成立する場合の河岸浸食防止策の必要範囲とその規模について,数値実験や理論解析結果を利用して検討を行う.さらには,節腹連続河道とならない河道条件から節腹連続河道となる条件への移行方法について検討を進めるも言及する. ・節腹連続河道の特性を利用した河川環境再生手法:急流河川においては,近年河道の樹林化が進行し,治水上も河川環境上も課題となっている.節腹連続河道が形成されている河川では腹の区間で,礫河原が維持されており樹林化の進行が抑制されている.このことから,治水対策手法と同様の検討を行い節腹連続河道の礫河原維持への可能性について,植生繁茂と破壊が再現できる数値実験により検討を行う.
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Research Products
(21 results)