2016 Fiscal Year Annual Research Report
Low protein adaptation of humans
Project/Area Number |
15H04430
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
梅崎 昌裕 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (30292725)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平山 和宏 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (60208858)
須田 亙 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (20590847)
冨塚 江利子 新潟薬科大学, 薬学部, 助教 (90313098)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 腸内細菌 / 低タンパク適応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は、パプアニューギニア高地人が、明らかにタンパクの不足した食生活にもかかわらず大きな筋肉を発達させるメカニズムを、腸内細菌の役割に着目しながら解明することである。平成28年度は、当初、パプアニューギニア国における新たなサンプリングを計画していたものの、現地の治安状況の悪化によりカウンターパートからサンプリングを中止するべきとの通知を受け取り、最終的にはサンプリングを断念した。その代替として「低タンパク適応」の状態にあるパプアニューギニア高地人の腸内細菌をマウスに移植する実験の再現性を確認する作業に従事した。パプアニューギニア高地レバニ渓谷に居住する8名を選び、その糞便を無菌状態で経代飼育されてきたマウスに移植した。これらのマウスに、滅菌処理をしたタンパク含有量%の少ない餌を与え、1ヶ月間の体重変化を記録し、生体試料を採材した。今年度の実験により、無菌マウス、日本人の腸内細菌を有するマウス、コンベンショナルな細菌を有するマウスに比較して、パプアニューギニア高地人の細菌叢を有するマウスは、低タンパクの餌を与えた場合の体重減少が有意に少ないという結果が得られた。そしてその傾向は、追試実験でも確認された。採材したサンプルを対象に、タンパク代謝、脂質代謝、尿素サイクル・TCAサイクル・クエン酸サイクルにかかわる遺伝子発現など広範なバイオマーカーを測定したところ、同一のタンパク含有量%の餌を与えて飼育したにもかかわらず、移植する腸内細菌の違いによって、複数のバイオマーカーに有意な差が観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定したパプアニューギニアにおけるサンプリングは、現地の治安状況の悪化によって実施できなかったものの、その分の労力を動物実験の再現性を確認する作業に振り向けた。その作業には時間を要しているものの、体タンパク適応の状態にあるモデル動物の確立の目処がたったために、研究は順調にすすんでいると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
同一の低タンパク餌を与えているにもかかわらず、日本人集団の腸内細菌叢を与えたマウスに比較して体重減少の少ない「低タンパク適応モデル動物」を確立したうえで、その動物の蛋白代謝系にどのような特徴がみられるかについての研究をすすめる。具体的には、探索的なメタボローム解析およびニトロゲンサルベージの程度を評価するための、窒素の安定同位体比解析などを計画している。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Nitrogen fixation and nifH diversity in human gut microbiota.2016
Author(s)
Igai K, Itakura M, Nishijima S, Tsurumaru H, Suda W, Tsutaya T, Tomitsuka E, Tadokoro K, Baba J, Odani S, Natsuhara K, Morita A, Yoneda M, Greenhill AR, Horwood PF, Inoue J, Ohkuma M, Hongoh Y, Yamamoto T, Siba PM, Hattori M, Minamisawa K, Umezaki M.
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 6
Pages: 31942
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Reduced morning cortisol level in saliva associated with obesity: Evidence from community-dwelling adults in Papua New Guinea.2016
Author(s)
Morita A, Natsuhara K, Vengiau G, Chen CCJ, Odani S, Inaoka T, Tadokoro K, Suda K, Furusawa T, Siba P, Phuanukoonnon S, Umezaki M.
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Journal Title
American Journal of Human Biology
Volume: 28
Pages: 587-590
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] 腸内細菌による宿主代謝変化の解析-低タンパク適応機構の解明2016
Author(s)
冨塚 江利子, 増岡 弘晃, 須田 亙, 猪飼 桂, 田所 聖志, 馬場 淳, 森田 彩子, 内藤 裕一, Paul Horwood, Andrew Greenhill, Peter Siba, 小谷 真吾, 夏原 和美, 服部 正平, 森田 英利, 平山 和宏, 梅崎 昌裕.
Organizer
第39回日本分子生物学会年会
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