2016 Fiscal Year Annual Research Report
The role of canine AIM in histiocytic sarcoma
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15H04590
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
米澤 智洋 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (10433715)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松木 直章 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (40251417)
盆子原 誠 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 教授 (50343611)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | がん / マクロファージ / AIM |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに研究代表者らはマクロファージ特異的に発現するタンパク質Apoptosis Inhibitor of Macrophage (AIM) を犬組織球性肉腫の細胞株に強発現すると細胞増殖や異形成化が抑制されること、ノックダウンするとそれらが促進されることを見出した。この成果は、今までアポトーシス抑制因子と考えられていたAIMの産生低下が、逆に組織球の腫瘍化を引き起こすという、全く新しい組織球性肉腫の発症機序を示唆している。そこで本研究の目的は、AIM産生低下による組織球性肉腫の発症機序を明らかにし、診断マーカーの確立や補充療法の可能性を探ることで、これまで治療困難であった組織球性肉腫の根治への糸口を掴むこととした。 研究代表者らは前年度の成果を踏まえて実験①に必要にな組換え蛋白質の大量精製、実験②細胞株を用いたAIMと組織球性肉腫の病態生理の関係の検討、実験③組織球性肉腫診断マーカーとしてのAIM測定系の開発のためのマテリアル作りを行い、一定の成果を得た。すなわち、実験①ではトロンビン切断サイトをもつHisタグ組換えイヌAIMの設計と大量作製と精製した。実験②では8種類のイヌ組織球性肉腫細胞株と5種類の他の腫瘍の細胞株におけるAIMとAIM受容体の発現についてqPCRで調べ、AIM低下によって引き起こされる組織球性肉腫の悪性度との関連性を明らかにした。そして実験③では、組織球性肉腫診断マーカーとしてのAIM測定系の開発のために必要なイヌAIM特異的抗体の作出を行った。当該抗体は現在バリデーション中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた実験①~実験③が予定通りの良好な成績をおさめているため。ここまでの成果を学術論文として発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の成果を踏まえて、実験②ではAIMと組織球性肉腫や他の腫瘍の病態生理の関係についてさらに検討を行い、AIM低下によって引き起こされる様々な腫瘍の悪性度や予後との関連性を明らかにする。実験③では腫瘍マーカーとしてのAIM測定系の開発に必要な抗体のバリデーションを引き続き行う。これらの知見を踏まえ、「実験④ in vivo 実験系を用いた組織球性肉腫におけるAIM補充療法の検討」を行う。これらの実験により、AIM産生低下による組織球性肉腫の発症機序を明らかにし、診断マーカーの確立や補充療法の可能性を探るとともに、これまで治療困難であった組織球性肉腫の根治への糸口を掴む。
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