2015 Fiscal Year Annual Research Report
カウンターストレス装置としてのRNA顆粒による相反mRNA抑制の解析
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15H04628
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡邊 雄一郎 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (60183125)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱田 隆宏 東京大学, 総合文化研究科, 助教 (20452534)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | プロセッシングボディー / ストレス顆粒 / シロイヌナズナ / 高温ストレス / mRNA分解 / RNAプロファイリング / 翻訳抑制 / 脱キャップ酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度はDCP1-GFP植物をもちいて高温処理を与えた際の細胞内の変化と、トランスクリプトーム変化を解析した。DCP1―GFP植物に加えて,DCP1-RFP, DCP2-GFP植物も構築して複数のマーカータンパク質の解析を可能とした。高温処理を施すと、DCP1が構成していた初期の顆粒構造に、DCP2の凝集が起こってくる様子が観察された。これまで40℃ 90分(高温処理とする)という時間処理を与えてprocessing body (P-body)の形成を観察していたが,15分ほどの短時間でも十分に形成が起こることを見いだした。翻訳の伸長段階の阻害剤シクロヘキシミドを添加すると、平温時でのDCP1顆粒形成と高温時のDCP2の顆粒形成が阻害された。翻訳伸長が起こらないとP-body顆粒形成が阻害され、双方が関連していることを示唆する。さらに植物の飼育方法によって,反応する温度に微妙な差があり,異なる環境、研究室のデータ間の解釈には注意が必要なことが明らかとなった。いったん40℃で顆粒が形成されたあと、通常温度(22℃)に戻す(高温解除とする)と顆粒は分散していく。顆粒の形成は可逆性をもっている様子が観察された。この事実はこの構造が環境応答に応じて形成されていることを示唆する。高温処理の前後、高温解除の前後において、RNA-seqによるトランスクリプトーム解析をおこない、その変化の挙動の傾向が同類のもので、Gene Ontologyによる機能の共通性を探索した。高温処理前後でRNA量が上昇するものにストレスタンパク質遺伝子が多く含まれていた。逆に減少するもの発生、形態形成に関わるような遺伝子がふくまれ、ストレス時には発現および蓄積が抑制を受けていることが示唆された。次に高温解除の前後でRNA量が減少するものにも特徴がみられ、高温処理で作られた遺伝子RNAが積極的に分解を受けていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ストレス顆粒とは、植物においても翻訳の開始因子eIF4E等をマーカーにして観察されてきたが、同じ我々の系でも捉えられること、高温処理に対する反応がP-bodyの場合と類似していることを見いだした。P-bodyとストレス顆粒は,従来別の構造として扱われてきたが,初めて同質のものである可能性が示唆された。蛍光顕微鏡による、P-body、ストレス顆粒のマーカー同士の重なり合いを計測し、双方のマーカー分子同士、若干の挙動の違いはあるが、同一の下流に重なる数の割合は非常に高い。現在、高温処理の前後の条件ごとにサンプルを作製し固定し、免疫電子顕微鏡による観察を行い、高温処理で顆粒の大きさが本法でも統計学的にも大きくなることが示された。DCP1で観察される顆粒にさまざまなマーカー分子が集結することをうけて、細胞抽出液から抗DCP1抗体で免疫沈降し、共沈するタンパク質を解析できるように、抽出液の組成、条件検討を行った。いくつかのバンドが明確に出る条件が整ったので、タンパク質をゲルで電気泳動にかけ、タンパク質候補を精製し、質量分析にかける準備がととのった。RNA-seq解析のなかで、高温処理前後でRNA量が上昇するものに、熱ショックタンパク質などのストレスタンパク質遺伝子、強光応答性遺伝子などが多く含まれた。逆に減少するものには細胞外領域タンパク質と特徴付けられる遺伝子が多く含まれていて、ストレス緊急時には発生、形態形成に関わるような遺伝子の発現および蓄積が抑制を受けていることが示唆された。次に高温解除の際には前後でRNA量が減少するものに特徴がみられ、高温処理で作られたと思われる遺伝子RNAが積極的に分解を受けていることが示唆される結果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
DCP1タンパク質と共沈するタンパク質を同定することを、条件検討も含めて、継続して行い、その結果を通じて新規のP-bodyの構成因子を明らかとする。さらにストレス顆粒との共通性について、翻訳開始因子などをマーカーに、DCP1/DCP2タンパク質との相互作用などを含めて、次のステップとして検討する。高温処理の前後、高温解除の前後で、RNA量として増減パターンの特徴ごとにグループ化し、それぞれのグループ毎にgene ontologyに関しての検討、mRNAにふくまれる共通モチーフなどの探索を試みる。グループ毎に代表的な遺伝子を選抜し、それらを以後の解析のベンチマーク遺伝子としていく。モチーフについて候補が見いだされた場合には、そのモチーフの改変などを施し、変異遺伝子mRNAについて、その挙動に起こる変化をin vivoで検討する。 それぞれのRNAについて、細胞内での局在性を検出するシステムを構築し、P-bodyあるいはストレス顆粒との共局在をするか否かを確認し、温度処理の上下によるRNA量の上下と、顆粒構造との関係について検討を加える。 DCP1-GFP植物をもちいて、高温処理を施しても顆粒形成が起こらないもの、あるいは高温処理を施さなくても顆粒形成を起こすような突然変異体をスクリーニングしていく。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Diffuse DCP2 Accumulates in DCP1 Granules under Heat Stress in Arabidopsis thaliana.2015
Author(s)
Motomura, K., Le, Q.T-N., Hamada, T., Kutsuna, N., Mano, S., Nishimura, M., Watanabe, Y.
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Journal Title
Plant Cell Physiol.
Volume: 56
Pages: 107-115
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Presentation] Analysis of TARP mediated-siRNA biosynthesis in Arabidopsis2016
Author(s)
Tsukada, M., Tsuzuki, M., Fukao, Y., Kurihara, Y., Matsui, M., Motomura, K., Tamura, K., Hara-Nishimura, I., Watanabe, Y., Hamada, T.
Organizer
日本植物生理学会
Place of Presentation
岩手大学(岩手県盛岡市)
Year and Date
2016-03-18 – 2016-03-20
Int'l Joint Research
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[Presentation] Characterization of small RNAs in a liverwort, Marchantia polymorpha2015
Author(s)
Masayuki Tsuzuki, Tsuyoshi Fujimoto, Ryuichi Nishihama, Kimitsune Ishizaki, Yukio Kurihara, Minami Matsui, Takayuki Kohchi, Takahiro Hamada, Yuichiro Watanabe
Organizer
EMBO Symposium "The Non-Coding Genome"
Place of Presentation
EMBL ( Heidelberg, ドイツ)
Year and Date
2015-10-18 – 2015-10-21
Int'l Joint Research
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