2016 Fiscal Year Annual Research Report
カウンターストレス装置としてのRNA顆粒による相反mRNA抑制の解析
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15H04628
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡邊 雄一郎 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (60183125)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱田 隆宏 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (20452534)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | P-ボディー / ストレス顆粒 / 植物 / 高温ストレス / mRNA分解 / 翻訳抑制 / 脱キャップ酵素 / シロイヌナズナ |
Outline of Annual Research Achievements |
ストレス顆粒をeIF4A-GFP、P-ボディーをDCP1-RFPをそれぞれマーカーとして、生きた細胞内での局在、動態を観察した。両者が互いに隣り合っている様子を電子顕微鏡観察によって確認した。同じ植物細胞内で両者が隣り合っていることが明確となった。 eIF4A-GFPをストレス顆粒のマーカーとした際に、赤外レーザーを照射し細胞内に局所的な温度上昇を起こした際に、その領域特異的にストレス顆粒と思われる構造体が現れた。このことは細胞の中、その場で温度変化が甘受され、局所的にストレス応答が引き起こされることが明らかとなった。 様々な手法で温度変化を与えた際、その方法によって顆粒形成が起こる限界温度が変わることも観察され、研究者ごとの実験環境の違いによって、論文間での温度感受性の違いが起こっていることが示唆された。 DCP1-GFPタンパク質が相互作用しているタンパク質候補を、免疫沈降ののちに質量分析にかけて探索した。その結果、DCP2とvaricoseが相互作用するタンパク質として有意に検出された。このことは従来の遺伝学的な解析結果などと合致するものであった。蛍光顕微鏡観察では高温ストレス下で P-ボディー構造が大きくなる。こうした高温ストレスにさらした上で、免疫沈降させたサンプルではこれらのタンパク質が有意な相互作用因子としては検出できなくなった。構成因子が平温時とは異なる可能性が示唆された。 またDCP1-GFP植物の粗抽出液から、抗DCP1タンパク質抗体を用いて、P-ボディーを免疫沈降にかけて、得られた画分に含まれるRNAに関して、RNA-seq解析にかけることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ストレス顆粒をeIF4A-GFP、P-ボディーをDCP1-RFPをそれぞれマーカーとして、生きた細胞内で両者が互いに隣り合っている様子が電子顕微鏡観察によって確認された。同じ植物細胞内で両者が隣り合っていることが明確となった。eIF4A-GFPをストレス顆粒のマーカーとした際に、赤外レーザーを照射し細胞内に局所的な温度上昇を起こした際に、その領域特異的にストレス顆粒と思われる構造体が現れた。このことは細胞の中、その場で温度変化が甘受され、局所的にストレス応答が引き起こされることが明らかとなった。様々な手法で温度変化を与えた際、その方法によって顆粒形成が起こる限界温度が変わることも観察され、研究者ごとの実験環境の違いによって、論文間での温度感受性の違いが起こっていることが示唆された。以上、ストレス顆粒、およびP-ボディ研究において、新規な事実、そして先行研究の内容を補完する内容について、平成29年度中には論文公表につながる内容となったと判断され、概ね順調に進展していると考える。 DCP1-GFPで、dcp1変異を相補した植物体は、表現型は正常である。この個体を材料に、DCP1-GFPタンパク質が相互作用しているタンパク質候補を、免疫沈降ののちに質量分析にかけることで探索した。その結果、DCP2とvaricoseが相互作用するタンパク質として有意に検出された。このことは従来の遺伝学的な解析結果などと合致するものであった。なお、この植物を、38℃、いわゆる高温ストレスにさらした上で、免疫沈降させたサンプルではこれらのタンパク質が有意な相互作用因子としては検出できなくなった。このことは、蛍光顕微鏡観察などから高温ストレス下ではP-ボディー構造が大きくなると想定されていたが、構成因子として通常温度時のものとは異なっている可能性が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
Prom(DCP1)::DCP1-GFP でdcp1変異を相補した植物体を材料に、DCP1-GFPタンパク質が相互作用しているタンパク質候補を、免疫沈降ののちに質量分析にかけることで、通常の温度では従来の遺伝学的な解析結果などと合致した形で、DCP2とvaricoseが相互作用するタンパク質として検出されるので、この植物を、様々なストレスにさらした上で、免疫沈降させたサンプルでは検出されるタンパク質種について解析を加える。ストレスの違いによる構造体の違いについて解析を広げる。蛍光顕微鏡観察などから高温や低温ストレス下ではP-ボディー構造が大きくなると想定されていたが、構成因子としては平穏時のものとは異なる可能性が示唆されている。 またDCP1-GFP植物の粗抽出液から、抗DCP1タンパク質抗体を用いて、P-ボディーを免疫沈降にかけて、得られた画分に含まれるRNAに関して、RNA-seq解析にかけることに成功した。通常の温度状態にはP-ボディーには光合成関連遺伝子のmRNAが多く含まれていることが示唆されており、再現性について確認を行う。またストレスを与えた際に同様の解析を行い、新たなプロファイルの変化について、解析を広げる。
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Research Products
(12 results)