2015 Fiscal Year Annual Research Report
オートファジーの機能形態学的基盤-隔離膜生成機構の解明に向けて
Project/Area Number |
15H04670
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
和栗 聡 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (30244908)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植村 武文 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (80548925)
安納 弘道 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (80258392)
田村 直輝 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (70745992)
亀高 諭 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10303950)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | オートファジー / 隔離膜 / 電子顕微鏡解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)隔離膜初期構造体の形態解析: 分子指標としてUlk1, Atg14L, WIPI1を選択し、これら分子のN末端側にGFPを付加したcDNAを構築した。レンチウイルスベクターを用いてマウス胎仔線維芽細胞(MEF)に遺伝子導入を行い、ゲノムに組み込まれた安定発現株を作製した。アミノ酸欠乏培地でオートファジーを誘導したところ、小胞体近傍に点状あるいはカップ状の形態を認め、これらは隔離膜マーカーであるAtg16Lと共局在していた。また、超解像顕微鏡を用いた解析から点状の局在は特殊形態を示したため、今後電子顕微鏡解析に応用可能であると判断した。 (2)電子顕微鏡レベルの3次元解析: 隔離膜、IMAT、小胞体、ミトコンドリアの3次元的位置関係を解析するためにオスミウムマセレーションを応用した走査電顕観察に着手した。旭川医科大学の甲賀博士との共同研究の結果、Atg3欠損MEFにおける同法の条件設定を行い、隔離膜あるいはオートファゴソームに関連する構造の同定に成功した。 (3)新規実験系の導入: 選択的オートファジーにおける隔離膜形態を解析する目的でGFP-p62ノックインMEFを用いた実験系を開発した。亜ヒ酸による酸化ストレスからの回復過程で可溶性GFP-p62あるいはGFP-p62陽性凝集体がオートファジーにより処理される過程を追跡できることが分かった。また形態解析に繋がる新たな試みとして、ゴルジ局在型クラスリンアダプターであるGGAとオートファジーの関連を探った。その結果、GGAノックダウンによりオートファジー隔離膜形成初期因子の発現変化を見出した。この結果は、GGAがオートファジーに何らかの関連性がある事を示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)隔離膜初期構造体の探索ツールとして、関連分子にGFPを付加したものを安定に発現するMEFの作製に成功した。これによりcorrelative light-electron microscopy(CLEM)法や免疫電顕法に進むことが可能となり、隔離膜初期構造体の同定に向けて確実な進捗が得られたため。 (2)また、上記プロジェクトの進捗が滞る場合を想定して、形態解析に繋がる新たな実験系の模索を始めた。その中で酸化ストレスによる選択的オートファジーやゴルジ局在型クラスリンアダプターとの接点が見出され、今後の展開が期待できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)まずは、GFP-Ulk1, GFP-Atg14L, GFP-WIPI1を安定に発現するマウス胎仔線維芽細胞(MEF)を用いたCLEM法と免疫電顕解析を進めることにより、隔離膜初期構造体を捉える事に主眼を置く。 (2)次に電顕解析に繋がる培養細胞を用いた実験系について、各種オートファジー関連分子の局在変化や生化学的解析を進め、様々な観点から見出した現象の分子メカニズムを解析する。 (3)さらに、マウス、ラットなどの実験動物を用いた解析系の開発に着手する。
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Research Products
(5 results)