2017 Fiscal Year Annual Research Report
GATA1因子機能不均衡による多段階白血病発症機構
Project/Area Number |
15H04759
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
清水 律子 東北大学, 医学系研究科, 教授 (40226262)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 育生 東北大学, 医学系研究科, 助教 (00708117)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | GATA転写因子 / 遺伝子改変マウス / 白血病 / Rasシグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
転写因子GATA1は、複数の標的遺伝子の発現を包括的に制御し、赤血球や巨核球、好酸球、肥満細胞それぞれの分化に重要な役割を担っている。ダウン症患児に好発する一過性骨髄増殖性疾患(TMD)や、その自然寛解後に発症する急性巨核芽球性白血病(AMKL)には、GATA1のN末端側転写活性化領域欠失変異(GATA1s)が関与していることが分かっている。また、GATA1sの発現量に依存した巨核球分化異常の有無が、TMDから白血病発症の基盤にあることも分かっている。GATA1s変異を導入して樹立した、周産期にTMD病態を呈する2つのマウス系統(GATA1s-M;GATA1s発現量が中等度。TMDが自然寛解した後、離乳後に白血病を発症する。GATA1s-H;GATA1sが高発現。TMD寛解後白血病を発症しない)を用いて、TMD芽球における遺伝子発現の変化を検討した。本年度は、GATA1s-MのTAM芽球ではRasal1(RAS Protein Activator Like 1)の発現が高値であるが、GATA1s-Hは野生型同様に低値に保たれていることを見いだした。また、GATA1がRasal1のプロモータ領域に存在するGATA結合配列に結合して、Rasal1の発現を制御していることを見いだした。Rasal1はRas-GTPを抑制してRasシグナルを抑制する。また、巨核球の分化にはRasシグナルが関与していることが分かっている。このことから、白血病発症の有無を決定する要因には、GATA1s発現量により変化するRASシグナル抑制による分化異常が関与している可能性があると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
白血病発症の有無を規定するGATA1の標的遺伝子として、Rasal1を見いだした。
|
Strategy for Future Research Activity |
GATA1sのみを発現する白血病細胞から樹立した細胞株に、誘導的にGATA因子を発現する細胞株樹立に成功したので、本細胞株を用いて、GATA1によるRasシグナルの調節機構を分子メカニズムで解析する。
|
Research Products
(6 results)