2015 Fiscal Year Annual Research Report
骨・血管連関に基づき骨折の動脈硬化進展への影響を解く大規模無作為標本20年追跡
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15H04789
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
玉置 淳子 大阪医科大学, 医学部, 教授 (90326356)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 裕保 仁愛大学, 人間生活学部, 教授 (10337115)
梶田 悦子 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50135373)
伊木 雅之 近畿大学, 医学部, 教授 (50184388)
由良 晶子 近畿大学, 医学部, 講師 (80142595)
千葉 康敬 近畿大学, 医学部附属病院, 准教授 (80362474)
臼田 寛 大阪医科大学, 医学部, 准教授 (80298752)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 骨粗しょう症性骨折 / 動脈硬化 / コホート研究 / 地域在住女性 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度における20年次調査は初回調査の対象地域の内、香川県S市、沖縄県M市を対象地域とし調査時現在40歳以上の者790名を対象とした。20年次調査で検診を受診した者は、S市、M市の2地域を併せて532人(受診率67.3%)であった。追跡調査に来なかった対象者に対する郵送による骨折状況調査をアンケートにより実施した。アンケートの回収を検診受診数と併せ、調査時40歳以上の追跡率を地域毎にみると、S市では91.6%(416人/454人)、M市で92.6%(311人/336人)で、2地域全体では、92.0%(727人/790人)となった。対象で死亡した者についての骨折に関する郵送調査結果を併せると、85.5%(757人/885人)について、骨粗鬆症性骨折の発生状況を把握できることとなった。 追跡調査では、骨量測定、胸腰椎側面イメージング及び体組成測定(調査時50歳以上)、血圧測定、身体計測、脈波伝播速度測定・頸動脈エコー(調査時50歳以上)、メタボリック症候群に関する血液検査、尿検査、運動機能検査、並びに骨折・既往歴・生活習慣に関するアンケート調査、カルシウム摂取量調査、食事摂取状況調査を計画通り実施した。 追跡調査を受診した対象者の年齢は平均64.9±12.2歳であった。20年次調査の受診者532人及び骨折アンケート調査回答者225人の計757人における骨折の発生状況については、初回調査以降に269件(206人)の骨折があった。その内、骨粗鬆症性骨折は121件(99人)と全骨折件数の45%を占めた。主要骨粗鬆症性骨折発生は96件(80人)であり、骨粗鬆症性骨折の8割を占めていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り平成27年度の追跡対象地域である香川県S市、沖縄県M市での調査、及び調査を受診しなかった対象者に対する郵送による骨折状況把握調査を終了した。また、頸動脈エコーによる測定も予定通り専任のスタッフ1名にて2地域で実施し得えており、2地域におけるエコーによる測定結果のデータベース化を終了した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、当初の計画通り20年次追跡調査を3対象市町で実施する。対象人数は、福島県N町、北海道M町、新潟県J市のベースライン時40歳以上であった女性967名である。骨形態計測、データベースの構築は前年度から引き続き行ない、過去の調査データと結合してデータベースの大部分を完成させる。 平成29年度は動脈硬化の進展に対する、骨折と骨密度の影響評価を行なう。追跡10年次から追跡10年間のIMTの変化に対する骨密度の変化と新規骨折の影響を10年次の既存骨折、骨密度等もモデルに加え多重線形回帰分析にて解析し、IMTの変化に対する既存骨折と骨密度、追跡期間の新規骨折の影響を、10年次の生活習慣病現病歴、服薬状況、血圧、喫煙・飲酒習慣等を調整要因に加え、多重線形回帰分析にて解析する。ABIについては、末梢動脈疾患の診断基準値であるABI値0.9未満を低ABI値として追跡期間における発生をアウトカムとする。低ABI値発生時期は追跡期間のmidpointとし、ポアソン回帰によって低ABI値発生に対する既存骨折と骨密度、新規骨折の影響を調整要因としてモデルに加え評価する。また、骨折、骨密度、骨・血管関連指標を加えた心血管疾患発生リスク評価モデルの推定を行ない、骨・血管連関を前向きに検証するとともに、より個人のリスクプロファイルに応じた予防対策の立案を試みる。
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