2015 Fiscal Year Annual Research Report
グレリンによる手術侵襲軽減のメカニズムの解明と臨床応用へ向けた投与法の最適化
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15H04930
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
土岐 祐一郎 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20291445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀧口 修司 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00301268)
宮崎 安弘 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00571390)
黒川 幸典 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10470197)
新野 直樹 大阪大学, 医学部附属病院, その他 (10724122)
山崎 誠 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50444518)
高橋 剛 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50452389)
柳本 喜智 大阪大学, 医学部附属病院, その他 (70645085)
宮田 博志 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター(研究所), その他部局等, その他 (80362713)
牧野 知紀 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80528620)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | グレリン / 抗炎症 / 手術侵襲 / 高齢者 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.敗血症・過大侵襲モデルにおけるグレリン投与法の比較については、CLPラット作成がなかなかうまくいかず,場合により作成を企業への委託を検討しているが、予算的に厳しくラボでの作成を引き続き検討する.しかしながら,グレリン持続投与に関する研究として,すでに食道癌術後グレリン持続投与の臨床治験(PMDA対面助言終了.2016年11月ごろ開始予定)が計画されており,このなかで時速投与における指摘濃度のValidationが行われる予定である(プラセボ VS 0.25㎎/kg/H VS 0.50mg/kg/H).PK/PD解析,炎症性マーカー測定についても施行する予定である.また,並行して,グレリン持続投与と食前静注投与の違いに関する研究として,同じくHumanにて,食道癌化学療法時におけるグレリン投与方法の違いによるランダム化試験を計画している. 2.胃全摘症例におけるグレリン投与の検討については、現在症例集積を継続中である。 3.グレリン不活性化メカニズムの解明について、食道癌手術患者の中心静脈および左胃静脈より採血し、それぞれのアシルグレリン値を測定したところ、両者の間には有意差を認めなかった。このことから、グレリンは肝臓ではなく、末梢血中で不活性化される可能性が示唆された。また、肝不全患者は健常人と比較し、有意に活性化グレリン値が高値であった(25.9 : 9.8fmol/ml)。そこで我々は、これまでに報告のあったグレリン代謝に関連する因子の中から、肝臓で生成された後に末梢血中を循環し、肝不全患者で低値となるコリンエステラーゼに着目し測定を行った.実際、肝移植前後で肝機能の回復と共に経時的にコリンエステラーゼは上昇するのに対し、活性型グレリン値はそれとは逆相関して低下することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究(1) 敗血症・過大侵襲モデルにおけるグレリン投与法の比較→②研究(2) 胃全摘症例におけるグレリン投与の検討と薬物動態の解明→③研究(3) グレリン不活性化メカニズムの解明→①研究(1)については、敗血症モデルであるCLPラットの作成中である。モデルが確立次第、炎症性サイトカインの定量や形態学的な肺組織の炎症程度、および生存期間など、抗炎症効果に関するグレリンの持続投与と間欠的投与の比較を行う予定である。一方,Humanレベルでのデータ収集は開始される予定であり,動物実験を超えたレベルでの研究進捗があることから,上記達成度とした.研究(2)については、他の臨床試験やda Vinci Surgical Systemを用いたロボット手術の導入などにより、適格症例が不足しているが、今後も症例集積を継続し、論文報告を予定している。研究(3)については、肝不全患者と健常人を比較することで、コリンエステラーゼという不活性化酵素を同定することができた。さらには実際に胃静脈におけるグレリン濃度が測定できたことは非常に大きく,中心静脈と左胃静脈でグレリン値に差がなかったことから,肝だけではなく全身でのグレリン代謝が重要であることが示された.今後,代謝に影響するコリンエステラーゼに焦点を絞り,In vitroでのAssayを行う予定である.本結果によっては,阻害剤投与によりグレリン濃度を上昇させる可能性が存在し,Vivoデータがそろったころから,上記進捗状況と判定した.
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Strategy for Future Research Activity |
現在のところ、研究(3)を中心に成果も出ており、倫理委員会の承認を受けた。また、その他の研究についても着実に進んでいる。一方で,研究(1)については,動物モデルの作成が急務であり,確実な動物モデルを作成しなければならない.作成が困難であれば,別系統の敗血症・課題侵襲モデルを検討しつつ,Humanにおける検討も同時に進めていく予定である.以上から,問題点に対する対応策は上記のごとくであり,研究推進の障壁はなく、引き続き継続し、予定通りに進める。今後の研究費おいても基礎研究、臨床研究ともに検体解析など予定通りの支出となる見込みである。
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Research Products
(15 results)
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[Journal Article] Impact of synthetic ghrelin administration for patients with severe body weight reduction more than 1 year after gastrectomy: a phase II clinical trial.2016
Author(s)
Takiguchi S, Miyazaki Y, Takahashi T, Kurokawa Y, Yamasaki M, Nakajima K, Miyata H, Hosoda H, Kangawa K, Mori M, Doki Y.
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Journal Title
Surg Today
Volume: 46
Pages: 379-385
DOI
Peer Reviewed
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