2015 Fiscal Year Annual Research Report
イメージング質量分析による前立腺癌の脂質・ステロイド代謝に関する研究
Project/Area Number |
15H04971
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
鈴木 和浩 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80312891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 一人 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00302472)
関根 芳岳 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00516370)
松井 博 群馬大学, 重粒子線医学推進機構, 講師 (40450374)
柴田 康博 群馬大学, 医学部附属病院, 講師 (90344936)
小池 秀和 群馬大学, 医学部附属病院, 講師 (90420091)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 前立腺癌 / 質量分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
今回のイメージング質量分析は組織の調整および測定条件の最適化が重要でありこの点について実験を進めた。前立腺癌細胞ヌードマウスXenograftモデルから採取した腫瘍組織を用いて、組織の調整-イオン化処理-MALDIイメージングの各過程で最適な条件設定を行った。SCEM(ライカ コーNo.8091140)包埋ブロックの薄切に関してはクリオスタット(ライカ製 CM3050S)を使用し、厚さ10umで薄切した。ITOコートグラス(Bruker Daltonics コードNo.8237001)へ貼付し、1時間風乾後に-80℃で保存した。マトリックス溶液は2,5-Dihydroxybenzonic acid(2,5-DHB)(Bruker Daltonics コードNo.8201346) 1g、メタノール(和光純薬 コードNo.138-06473) 1L、トリフルオロ酢酸(和光純薬 コードNo.206-10731) 1ml×5A、 蒸留水(和光純薬 コードNo.046-16971) 1Lを用いて、DHB30g/l in 50%MeOH(0.2%TFA)に調整した。マトリックス溶液はImagePrep(Bruker Daltonics製)を使用してサンプルに塗布した。キャリブレーションスタンダードは脂質測定のため、Peptide cabibration standardⅡ(Bruker Daltonics コードNo.822570)(Coreverd mass range ~700Da-3200Da)をまず使用し、FlexImagingソフトウェア(Bruker Daltonics)によって画像化を行った。レーザー照射回数はまず200回から開始し、測定領域の範囲、解像度を含め最適化をはかった。イメージング質量分析で測定後の組織をHE染色し、画像の重ね合わせによって実際の組織学的情報と統合して評価することを検討中であるが、ITOコートスライドのままHE染色に用いるのは困難であり、サンプル薄切時の連続切片を剥離防止スライドに取りHE染色を行うことを試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒトおよびマウスの前立腺癌組織のイメージング質量分析を評価する目的で実験を開始したが、組織調整がこれまでの免疫組織や分子生物学的な解析と異なる点が多くあり、組織処理において特徴のある固定方法が必要となる。この点について、これまでの方法を参考にしてすすめ、おおむね達成されている。処理された組織を用いて質量分析をイメージする方法も、組織毎に最適化が必要であるが、今回の検討から、ある程度適切な条件がしぼられてきている。この方法を応用して、平成28年度は、実際の薬物投与後の組織との比較検討につなげられる見込みがあるので、おおむね順調に進んできていると判断している。今後、さらに、パラフィン固定標本を質量分析に使用可能かの、溶媒交換実験などもすすめることで、さらに組織処理に関する最適化を進める。この点の基礎的な検討も平成27年度の実験をもとにして進めることが可能と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度の実験条件の最適化をもとにし、平成28年度は、ホルモン療法を施行した細胞やヒト組織を用いて質量分析をイメージ化していく。実験条件の最適化によって、ターゲットをしぼったスペクトラムの評価ができるので、より効率的に解析が進むことを期待している。また、パラフィン固定組織の組織溶媒交換の検討により、通常のパラフィン固定やOCTコンバウンドで固定されている組織を用いた解析が可能かの検討を予定しており、可能となるとより解析数の点でも進むことが期待される。微量の脂質代謝の点を鋭敏に測定するシステムであるため、組織固定からその解析にいたる実験のステップを慎重にすすめることでより正確な評価を目指していきたいと考えている。
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