2015 Fiscal Year Annual Research Report
脳内神経伝達物質をターゲットとした摂食機能障害の病因・病態の解明とその治療戦略
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15H05050
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
吉田 教明 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (40230750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古賀 義之 長崎大学, 病院(歯学系), 講師 (50175329)
井上 富雄 昭和大学, 歯学部, 教授 (70184760)
内海 大 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 客員研究員 (80622604)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 神経伝達物質 / 咀嚼 / 嚥下 / 顎口腔機能 / 顎運動 / 筋電図 |
Outline of Annual Research Achievements |
中枢神経系における神経伝達物質伝達系の変化が咀嚼運動や嚥下運動の制御に影響を及ぼすことが考えられており、本年度はγ-アミノ酪酸神経伝達系の異常が咀嚼運動制御に障害を引き起こすという仮説を検証するために、脳室内投与による実験を試みた。われわれのこれまでの遺伝子改変マウスを用いた研究では、γ-アミノ酪酸受容体の膜発現率の上昇を特徴とするマウスを対象として、咀嚼時の自由運動下における顎運動ならびに筋活動を記録したが、基本的な運動パターンは健常マウスと比較して、咀嚼リズムには影響がみられなかったが、不安定な咀嚼運動の軌跡が認められた。一方、健常マウスを対象として、γ-アミノ酪酸拮抗薬のビククリンを脳室内投与した場合には、咀嚼リズムに変調が認められた。ヘテロノックアウトマウスを用いた場合には、ホモ接合体と野生型の中間的な表現型を示したため、予想していた咀嚼リズムへの影響はみられなかったが、健常マウス脳室に直接投与した際には、γ-アミノ酪酸神経伝達の抑制が咀嚼のセントラル・パターン・ジェネレータ(CPG)にも作用し、咀嚼リズムに変調をおこしたことが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脳室内投与の実験系も確立し、神経伝達物質が咀嚼の運動制御に及ぼす影響についての概要が把握できる体制になった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、軟性飼料や硬性飼料を与えた場合の、末梢感覚器からのフィードバックの影響を解析していきたい。 また、ドーパミンの脳室内投与が嚥下誘発に及ぼす影響を解明するための実験系を構築し、解析を進めていきたい。
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Research Products
(8 results)