2015 Fiscal Year Annual Research Report
看護学におけるヘルス・テクノロジー・アセスメントの構築と展開
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15H05070
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
飯島 佐知子 順天堂大学, 医療看護学部, 教授 (80389890)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
貝谷 敏子 札幌市立大学, 看護学部, 准教授 (00381327)
大西 麻未 順天堂大学, 医療看護学部, 准教授 (10451767)
菅田 勝也 藍野大学, 医療保健学部, 教授 (20143422)
岡本 明美 順天堂大学, 医療看護学部, 准教授 (20456007)
五十嵐 中 東京大学, 薬学研究科, 准教授 (20508147)
福田 敬 国立保健医療科学院, 医療・福祉サービス研究部, 部長 (40272421)
豊川 智之 東京大学, 医学系研究科, 准教授 (40345046)
片岡 純 愛知県立大学, 看護学部, 教授 (70259307)
安川 文朗 横浜市立大学, 国際総合科学部, 教授 (90301845)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ヘルス・テクノロジー・アセスメント / 医療経済評価 / 費用効果分析 / 臨床ガイドライン / 看護教育 / 人員配置 / 医療の質 / NICE |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の目的は、看護関連のHTAの取組について,文献検討および英国の関係者へのインタビューにより医療政策における位置づけや評価体制を明らかにし,我が国への適用の在り方を検討することであった。 平成27年8月17日より23日に英国において5人の研究者と5人実務家にインタビュー調査を実施した。質問内容は、NICEガイドラインの開発担当者に医療政策における看護関連ガイドライン作成の経緯、評価体制を質問した.医療経済学者に看護関連ガイドラインにおける費用効果分析の位置づけ、NHSのガイドラインの臨床への適応担当者に役割と活動について、教育プログラム開発担当者にガイドラインと看護師教育の関係について質問した。Croydon University hospitalにおいてガイドラインの臨床活用の実際について見学し、医師,看護師に質問した。 結果、NICEのガイドライン部門では、2013年に医師,看護管理者、作業療法士、医療経済学者などの専門家と患者代表者の20名によるプロジェクト・チームが公募で結成され、9つの看護関連のガイドラインが作成された。 医療経済評価は、ガイドライン開発の必須項目であり、 看護師配置のガイドラインの開発中に費用効果分析を実施した。NHSでは各病院おいてガイドラインの適用方法に問題がないかを確認して支援し、普及のために臨床看護師への教育活動を実施している。Care Quality Committeeは提供したケアの質を評価しており、評価の前提にガイドラインの遵守がある。さらに質評価の高い病院には、追加報酬の支払いがあり、職員の教育や設備の拡充に当てられるという、経済的インセンティブがあった。以上のことから、英国では、 HTAの実施からガイドラインの作成、看護師教育、臨床適応、医療の質の評価および報酬の支払いが一連の制度として機能していることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
諸外国の看護関連のHTAの取組について,文献検討では、日本、スウェーデン、イギリスについて調査を行った。 また、イギリスでは、7人以上の関係者と面談してインタビュー調査を実施できた。看護技術に関する費用効果分析を実施した研究の一覧について作成し、褥瘡とがんに関わる看護技術の費用効果分析の文献レビューを実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
1) CINAL, Pub MED, HTA Data Base,などのデータベースを用いて文献 検索を継続する。カナダの The Canadian Agency for Drugs and Technologies in Health (CADTH)およびオランダのNZa(The Dutch Healthcare Authority)を検索し,看護関連のプロジェクトについて調べる。カナダ,オランダの HTA の実施機関を訪問し,担当者にインタビュー調査を行う。医療政策における看 護の評価の位置づけや評価体制,委員の役割を明らかにし,日本での適応可能性と課題につい て検討する。 2)カナダではに看護の HTA を実施しているアルバータ大学 の Liu 教授にインタビューを行う。オランダのNZa(The Dutch Healthcare Authority)の看護関連のプロジェクト担当者のインタビューを行う。 3) 転倒予防ケアの評価:入院患者への倫理的配慮として 無作為化の同意が病院から得られない場合は,病棟単位で介入群と対照群を設定する。あるい は,導入前後比較とする。介入プログラムは,22年度に評価し改訂した転倒リスクアセスメント ツールおよび標準予防対策を改定して使用する。 4)がん化学療法セルフケア支援プログラムの評価:治療を受ける患者のセルフケア支援プ ログラムのエビデンスについて文献検討を行い,プログラム内容を精錬する。プログラムは有害 事象に対するセルフケア能力の向上を主眼とする。 5)創傷ケアの評価(貝谷):そこで,糖尿病性下腿潰瘍の予防・発症後の管理 に関してエビデンス検索,及びインターナショナル・コンセンサス(Apelqvist,2008)より既に 合意の得られているケア内容を検討し,介入プロトコールを作成する。
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