2017 Fiscal Year Annual Research Report
ヒメミカヅキモの生殖様式進化の解明に向けたフィールド調査と実験的検証
Project/Area Number |
15H05237
|
Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
関本 弘之 日本女子大学, 理学部, 教授 (20281652)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土金 勇樹 日本女子大学, 理学部, 助教 (20434152)
野崎 久義 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (40250104)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | ミカヅキモ / 生殖隔離 / 海外調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒメミカヅキモは、遺伝的に決定された性を持つ複数のヘテロタリック株交配群と、それらとごく近縁で自殖による接合を行うホモタリック株を含む一形態種であり、その有性生殖過程を分子生物学的に解析する基盤が整備されてきている。しかし、現存株の接合能は、継代培養の間に大きく低下しており、以後の研究に使用できない状況であった。本研究では、国外、国内の数カ所の拠点を調査し、生殖様式と系統関係を明らかにしつつ、絶対的に不足している多様な系統株を確立することを目的としている。本年度は、10月にネパール、11月にタイに出向き、現地藻類研究者との打合せを行い、サンプリング調査を行った。その結果、ヒメミカヅキモと思われるいくつかの株の取得に成功したものの、18s DNAのgroup I intron領域を用いた系統解析の結果では、既存のヒメミカヅキモ交配群の外側にクレードを形成するものが多く、形態観察と必ずしも一致しないという結果を得た。生殖隔離関係にある交配群IEとGの生理学的解析も進め、Gの接合子形成が、IEの存在により一方的に影響を受けるという、生殖干渉と思われる現象を見出した。 また、いくつかの既存ヘテロタリック株、ホモタリック株について、Illuminaによるゲノム解読を進めているが、加えて交配群IIBに近縁なホモタリック株1系統について、ゲノムレベルでヘテロタリック株との比較を行うための、PacBioシークエンサーでの解析データを取得した。このアセンブルデータをリファレンスとして、各株のゲノム構造の精査を進めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度においては、新規交配群の確立には至らなかったが、これまでに5つの生理学的研究に耐えうる交配群の確立に成功している。交配群IIBに近縁なホモタリック株については、PacBioシークエンサーによるアセンブルデータを取得できたため、ゲノム構造の比較のための準備が整っており概ね順調である。
|
Strategy for Future Research Activity |
現地の情勢を踏まえて、海外拠点および国内の調査を進める。また、ゲノム解析、RNAseq解析を進め、生殖様式の切換に関わる普遍的な機構を見出す。
|
-
-
-
[Journal Article] Molecular evolutionary analysis of a gender-limited MID ortholog from the homothallic species Volvox africanus with male and monoecious spheroids.2017
Author(s)
Yamamoto, K., Kawai-Toyooka, H., Hamaji, T., Tsuchikane, Y., Mori, T., Takahashi, F., Sekimoto, H., Ferris, P.J., Nozaki. H.
-
Journal Title
PLOS One
Volume: 12
Pages: e0180313
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
-
[Journal Article] CRISPR/Cas9-based knockouts reveal that CpRLP1 is a negative regulator of the sex pheromone PR-IP in the Closterium peracerosum-strigosum-littorale complex.2017
Author(s)
Kanda, N., Ichikawa, M., Ono, A., Toyoda, A., Fujiyama, A., Abe, J., Tsuchikane, Y., Nishiyama, T., Sekimoto, H.
-
Journal Title
Sci. Rep.
Volume: 7
Pages: 17873
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-