2015 Fiscal Year Annual Research Report
周極域森林生態系において蘚苔地衣類が炭素窒素循環に果たす役割と地域間差の評価
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15H05238
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
森下 智陽 国立研究開発法人森林総合研究所, 四国支所, 主任研究員 (90391185)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 北方林 / 蘚類 / 地衣類 / アラスカ / エストニア / ブラックスプルース / ヨーロッパアカマツ |
Outline of Annual Research Achievements |
周極域森林生態系において林床の蘚類および地衣類が炭素循環におよぼす影響を明らかにするため、さまざまな北方林で、蘚苔地衣類に着目した林床植生のパターンやその優占度の調査をおこなった。これまで調査をおこなってきた中央シベリア、アラスカ内陸部、カナダ北西部に加えて、北欧(フィンランド、エストニア)で、被覆率調査をおこなった。多くの林分で見られたHylocomium splendensについてみると、これまでの調査では、個体の成長速度が速いほど、被覆率が高い傾向が見られたが、エストニアでは、H.splendensの成長速度は速いが、被覆率が小さい傾向が見られた。これは、北方林の中では、比較的温暖であり、別の灌木類が林床で優先するようになり、十分な光を得ることができないためと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで調査をおこなえなかった、北欧地域における林床の蘚苔地衣類の分布調査をおこなうことができて、空白地域を埋めることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度については、蘚苔地衣類が炭素循環におよぼす影響を明らかにするため、アラスカのクロトウヒ林において、土壌呼吸速度とその直下の有機物層との関係を明らかにする。有機物層内には、樹木細根が多いと考えられることから、有機物層を構成する蘚苔地衣類やその厚さに着目して、土壌呼吸の変動要因を解明する。
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Research Products
(4 results)