2016 Fiscal Year Annual Research Report
メコンデルタにおける耕畜エネルギー複合システムの構築と評価
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15H05267
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
川島 知之 宮崎大学, 農学部, 教授 (10355068)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
犬伏 和之 千葉大学, 大学院園芸学研究科, 教授 (00168428)
泉 太郎 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, その他部局等, 主任研究員 (10725360)
荻野 暁史 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門, 主任研究員 (70355098)
宝川 靖和 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, その他部局等, プロジェクトリーダー (90353549)
安藤 貞 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, その他部局等, 主任研究員 (40502943)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 温室効果ガス / 水田 / 肉牛 / バイオガス / LCA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、世界有数の稲作地帯であるメコンデルタにおいて、今後肉牛生産が急速に伸びることを想定し、水田、肉牛生産、バイオガスに関するそれぞれの緩和策を融合させることで、生産される食料あたりの温室効果ガス発生量を最小化しつつ、食料の増産と生計向上を達成しうるシステムを構築し、包括的な環境影響評価によりその有効性を実証することを目的とする。本年度、水田分野においては、AWD節水灌漑技術の導入により、常時湛水と比較して養分転流の促進、耐倒伏性の増強、土壌中の硫化水素発生の抑制等による増収効果と、温室効果ガス発生抑制の効果を確認した。また、バイオガスダイジェスターから排出される消化液をイネに施用するポット試験の準備を完了した。畜産分野では、1)エレファントグラスとイナワラの青刈り給与、2)1)に糖蜜を添加したサイレージ、3)1)にビール粕を添加したサイレージ、4)1)のサイレージの4つの飼料を牛に給与して消化管からのメタン生成量を測定した。サイレージ調製により体重当たりのメタン発生量が抑制されることが示された。バイオガスに関しては、ウシ飼養農家でバイオガス発生装置を利用しているところで、装置に投入した排泄物量とメタンの発生量の関係を求めて、250-300L/kgであることが示された。また、バイオガスを使用する調理用コンロの改良を行い、燃焼効率を調べた。環境影響評価については、肉牛と水稲農家の調査を継続し、肉牛および水稲LCAモデルを構築した。その解析から水稲専業システムにおいて、発生する温室効果ガスのほとんどをメタンが占めており、水田からイナワラを持ち出している地域では水田からのメタン排出量が低いことが示された。肉牛専業システムにおいては、タイにおける粗放的及び集約的肉牛生産からの温室効果ガス排出量の中間の値であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の最終的な目標は、水田、肉牛生産、バイオガスに関するそれぞれの緩和策を融合させて、生産される食料あたりの温室効果ガス発生量を最小化しつつ、食料の増産と生計向上を達成しうるシステムを構築し、包括的な環境影響評価によりその有効性を実証することである。包括的な環境影響評価に向けて、肉牛および水稲LCAモデルを構築し、それぞれの専業システムの評価を行った。現在、水田、肉牛生産、バイオガスそれぞれにおける緩和策に関する評価を実施している。水田分野で試験の実施が遅れていたが、ポット試験の準備も完了し、具体的なデータが得られつつあることから、最終年度に、それぞれの緩和策を融合させたシステムにおける包括的な環境影響評価を実施できる状況にあり、当初の目標を達成できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
水田分野では、イネに消化液を施用するポット試験において、収量や温室効果ガスの発生量に関するデータを取得する。肉牛分野では、現地の飼料資源を活用した飼養試験を継続し、温室効果ガスの発生量をモニタリングする。バイオガスについても、肉牛農家でのバイオガス利用のモニタリングを継続するとともに、コンロの改良等による改善策を提案する。これらの情報を得て、環境影響評価においては、耕畜エネルギー複合システムのLCAモデルを構築し、専業システムとの比較から、複合システム構築による環境影響低減効果を明らかにする。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Reduction of Greenhouse Gas Emissions in Vietnam through Introduction of a Proper Technical Support System for Domestic Biogas Digesters.2016
Author(s)
Izumi, T., Matsubara, E., Duong, T. D., Nguyen, V. C. N., Nguyen, H. C. and Higano, Y.
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Journal Title
Journal of Sustainable Development
Volume: 9(3)
Pages: 224-235
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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