2017 Fiscal Year Annual Research Report
表現型責任細胞の包括的な同定を目指す次世代型マウス遺伝学の開発
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15H05650
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
洲崎 悦生 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 講師 (10444803)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 高速マウス遺伝学 / 組織透明化 / 3次元イメージング / 画像解析 / 細胞ラベリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画の集大成の一つとして、「次世代マウス遺伝学」を実現するスキームをまとめた英文総説を発表した(Susaki et al. npj Syst. Biol. App 2017)。昨年度に引き続き、アデノ随伴ウイルス等の遺伝学的ラベリングツールを用いた細胞ラベリング系の検討のため、ウイルスの作製・投与系の導入を進めるとともに、外部研究者らの協力を得て検証用のラベル済みサンプルを確保した。これらのサンプルを用いて、アップデートされた組織透明化プロトコルにおける蛍光タンパク質等へのコンパチビリティやイメージングのデータクオリティの評価を進めた。イメージングには新規に導入した高速マクロズームライトシート顕微鏡を使用し、イメージング手法の高速化に向けた画像取得シーケンスや、取得画像の前処理、細胞体の検出法(セグメンテーション)等を行うための解析手法について検討した。マウス全脳を例とした場合、1データセットあたり100GB近いサイズとなり、PCのスペックが極めて重要であることが判明したため、ハイスペックなワークステーションを導入し、画像の前処理から基本的な解析までを回す体制を整えた。また、透明化と組織学的染色法の組み合わせによるmulti-modalな情報取得について検討し、ウイルスラベル脳に対する免疫染色によって、1細胞解像度でラベル細胞の細胞種を同定するスキームの検証を行なった(投稿準備中)。また、CUBIC技術のヒト病理学への応用を目指した研究を進め、発表した(大阪大学大学院医学系研究科病態病理学講座との共同研究)(Nojima et al. Sci Rep 2017)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画の最大の目的であった「次世代マウス遺伝学」についての成果をすでに発表し(Ode et al. Mol Cell 2017, Susaki et al. npj Syst Biol App. 2017)、さらに本スキームを含む様々な細胞ラベリングと3次元的な全臓器スケールの検出手法との組み合わせを検証するための系の導入がほぼ予定通り進捗し完了しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
表現型責任細胞の同定のためには、遺伝学的ラベリング・組織学的ラベリングなど、複数のモダリティを組み合わせた細胞ラベリング手法と、3次元的な全臓器スケールの検出手法との組み合わせが非常に有用であると考えられるため、最終年度では特にこのようなマルチモダリティなラベル細胞検出法の検証を進め、全臓器スケールの1細胞解像度データから細胞を同定する技術(個体レベルのシステム要素同定技術)についてさらに検討を進める予定である。具体的には、アデノ随伴ウイルス等を用いた細胞ラベリング後、アップデートした組織透明化プロトコルを適応して蛍光タンパク質等の発現を全臓器スケールで3次元的に観察するコンセプトをさらに検討する。さらに、イメージングの 高速化に向けた画像取得シーケンスや、取得画像から必要な前処理やセグメンテーションを行うための解析手法について検討し 、取得画像からの情報抽出に必要な解析パイプラインの構築を進める。また、透明化と組織学的染色法の組み合わせによるmult i-modalな情報取得についても検討する。以上のシステム要素同定技術についての結果をまとめ、論文報告する予定である。
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Research Products
(25 results)