2018 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚を場とする外的刺激に対する生体応答機構の包括的解明
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15H05790
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
椛島 健治 京都大学, 医学研究科, 教授 (00362484)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大日 輝記 京都大学, 医学研究科, 講師 (20423543)
國澤 純 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 医薬基盤研究所 ワクチン・アジュバント研究センター, センター長 (80376615)
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Project Period (FY) |
2015-05-29 – 2020-03-31
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Keywords | 皮膚 / 免疫 / アレルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、外的侵襲に対する獲得免疫反応の惹起時に、皮膚内にリンパ様組織構築(Skin-Associated Lymphoid Tissue; SALT)が誘導される事を見出し、本構築をinducible SALT: iSALTと命名した。本研究課題では、外的侵襲に対する皮膚応答機構を理解し、各種皮膚疾患の発症機序を解明する事を目的とする。 本年度は、皮膚の構成細胞・構造物・細胞機能を包括的に可視化する系の確立と、SALT形成の際に重要な役割を果たす後毛細血管静脈の果たす役割の解析を行った。 当初の目的であったマウス皮膚の可視化に関しては、皮膚の構造物、各種皮膚構成細胞と細胞機能の可視化に成功した。また、外的侵襲に対するマウス皮膚の生体応答の解明を目指し、iSALT形成における上皮・免疫・間質細胞の役割を解明した。また、ハプテンのみならずタンパク抗原や自然免疫系シグナルなどの外的刺激に対するiSALTの生理・病態的役割の解明も明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
皮膚は、バリア機能、免疫、かゆみを介して、極めて合目的的に外的侵襲の排除に関与する。一方で、アトピー性皮膚炎での「病的な」かゆみの発生は患者の生活の質を著しく低下させる。IL-31はアトピー性皮膚炎の皮膚に局在するT細胞が産生し、神経細胞週末のIL-31受容体に直接作用することでかゆみを生じさせることがマウスで知られていたがヒトでの役割は不明であった。本研究では、アトピー性皮膚炎の患者を対象に、ヒト化抗ヒトIL-31受容体抗体 (nemolizumab) の効果を検証した。抗IL-31受容体抗体の投与群は対照群に比べて有意にかゆみを軽減し、皮疹の重症度も軽減した。以上より、免疫細胞がサイトカイン産生を介して末梢神経に作用してかゆみを誘導し、アトピー性皮膚炎の病態を形成していることを明らかとした。 また、代表者が提案したiSALTの概念がヒトの皮膚感染症や炎症性疾患にも適用されるか否かを検証した。梅毒ではその感染局所において形質細胞の浸潤が早期からみられることから、梅毒の第2期疹でiSALT構造の探索を行った。梅毒の第2期疹では、菌体に近接して、TおよびBリンパ球、高内皮細静脈より構成されるiSALT様の構造を認め、CXCL13陽性線維芽細胞様細胞を豊富に含んでいた。以上より、マウスで観察されたiSALTに相当する構造が皮膚感染症においてヒトでも形成される可能性が示された。現在、エリテマトーデスやメラノーマなどの他の疾患におけるiSALTの存在の確認とその意義の解明を進めている。 したがって、初年度に達成するべき研究成果は十分得られており、概ね順調に進呈していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
外的侵襲に対するヒト皮膚の生体応答の包括的解明 1) ヒト皮膚構造物・構成細胞の可視化 これまでマウスを中心に確立してきた手法を用い、健常ヒト皮膚の構成細胞や構造物の蛍光可視化を順次試みる。 2) ヒト各種皮膚疾患におけるiSALTと常在菌の意義の検証 三次元でヒト皮膚の病理組織を可視化する技術を確立する。ヒトiSALTの有無と皮膚常在菌のプロファイルを接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎や尋常性乾癬などの炎症性皮膚疾患において検証し、病態解明の基盤を形成する。さらに、ex vivoでのリアルタイム生体イメージングシステムの確立を目指す。
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Research Products
(13 results)
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[Journal Article] Two distinct interstitial macrophage populations coexist across tissues in specific subtissular niches.2019
Author(s)
Chakarov S, Lim HY, Tan L, Lim SY, See P, Lum J, Zhang XM, Foo S, Nakamizo S, Duan K, Kong WT, Gentek R, Balachander A, Carbajo D, Bleriot C, Malleret B, Tam JKC, Baig S, Shabeer M, Toh SES, Schlitzer A, Larbi A, Marichal T, Malissen B, Chen J, Poidinger M, Kabashima K, Bajenoff M, Ng LG, Angeli V, Ginhoux F.
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Journal Title
Science.
Volume: 15
Pages: 363(6432).
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Epithelial TRAF6 drives IL-17-mediated psoriatic inflammation.2018
Author(s)
Matsumoto R, Dainichi T, Tsuchiya S, Nomura T, Kitoh A, Hayden MS, Ishii KJ, Tanaka M, Honda T, Egawa G, Otsuka A, Nakajima S, Sakurai K, Nakano Y, Kobayashi T, Sugimoto Y, Kabashima K.
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Journal Title
JCI Insight.
Volume: 9
Pages: 3(15)
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Nemolizumab in patients with moderate-to-severe atopic dermatitis: Randomized, phase II, long-term extension study.2018
Author(s)
Kabashima K, Furue M, Hanifin JM, Pulka G, Wollenberg A, Galus R, Etoh T, Mihara R, Nakano M, Ruzicka T.
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Journal Title
J Allergy Clin Immunol.
Volume: 142(4)
Pages: 1121-1130.e7
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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