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2015 Fiscal Year Annual Research Report

エルサルバドルのニアミス症例の検討:妊産婦死亡率削減に向けた新たな戦略の構築

Research Project

Project/Area Number 15H06178
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

笹川 恵美  東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90757270)

Project Period (FY) 2015-08-28 – 2017-03-31
Keywords国際保健 / 母子保健 / 公衆衛生 / 妊産婦死亡 / エルサルバドル
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、エルサルバドルにおける妊産婦死亡率削減に向けた戦略を構築することを目的としている。エルサルバドル政府は、国づくりの指針となる「国家開発5ヵ年計画2014~2019年」の中で、妊産婦死亡率削減を最重要課題としているがものの、その方策は具体的ではない。本研究では、妊産婦死亡例と同時に、妊産婦死亡の周辺に多数存在する「死に直面しながらも幸いにも生き延びた妊婦・分娩中・産後42日以内の女性(ニアミス症例)」を分析することで、産科医療・ケアの質、保健医療システムの側面から、妊産婦死亡の削減を妨害している要因を探求することを目指している。目的達成のため、以下の3つの調査を実施する。【研究1】2015年に集中治療室に入院した女性を対象とした横断研究、【研究2】集中治療室に入院した経験を持つ女性を対象とした質的研究、【研究3】分娩を取り扱う病院を対象とした横断研究、である。
初年度は、ニアミスに関する文献レビューを行い、途上国の妊産婦はニアミス状態となった際、先進国の妊産婦より容易に死に至りやすい現状が明らかとなった。具体的には、アフリカ地域においてニアミス症例5-10名毎に1名の妊産婦死亡が起こるのに対し、欧州では50-100名毎に1名の妊産婦死亡が起きていた。また初年度はエルサルバドルへ2回渡航し、研究の実現に向けて保健省、調査対象施設と協議を重ねながら、【研究1】と【研究3】を実施する施設の選定、横断研究で用いる質問票(日本語・英語・スペイン語)の作成、【研究2】の個別面接で用いる質問項目(3ヵ国語)の作成等を行った。研究プロポーザルはスペイン語で初稿を執筆し、現在はカウンターパートの意見を反映しながら最終版の作成中である

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

平成27年度に実施を予定していた、文献レビュー、研究に対するエルサルバドル側との合意形成、研究で用いる調査票・同意書・調査手順書等の必要書類作成は計画の通りに進んでいた。しかし、研究プロポーザルのエルサルバドル倫理委員会への提出、および現地でのパイロット調査は実施できなかった。当初、2回目のエルサルバドル渡航時(2016年3月)に、現地の倫理委員会に研究プロポーザルを提出することを目標としていたが、エルサルバドルのカウンターパート機関から、研究計画の一部変更(追加)の要望が挙がり、その調整・協議、研究方法等の加筆のため、エルサルバドル渡航期間中に研究プロポーザルと調査手順書の改訂版が完成まで至らなかった経緯がある。しかし、これらの研究計画一部変更は、エルサルバドル側のニーズを反映した、より良い研究計画を作り上げるための前向きな変更であると考えている。

Strategy for Future Research Activity

エルサルバドル・日本両国の倫理委員会に研究プロポーザルを速やかに提出し、承認されるまでの審査プロセスをフォローする。【研究1】3施設における集中治療室に入院した女性を対象とした横断研究では、計4名の調査員を雇用し、既存の産科診療録から情報を収集する予定である。調査員に対して事前トレーニングや研究者による定期的なモニタリングを通じ、入手するデータの質の確保に努める。【研究2】集中治療室に入院した経験を持つ女性を対象とした質的研究は、退院後の女性を対象に個別面接を行う。面接では、自宅から病院に到着するまでの受診行動や到着時の妊産褥婦の状態に関する聞き取りから、ニアミスに至った社会・文化的背景を調べる。また、病院に到着後どのような対応を受け、どのように感じたかを聞き取ることで、患者の視点からの産科医療・ケアの質、保健医療システムに対する改善点を検討する。なお面接対象者リクルート時に調査協力へのモチベーションが上がるよう、謝礼として石鹸やハンカチ等の粗品を準備する。【研究3】国内の分娩を取り扱う国立病院は29施設あるが、全施設を対象とした横断研究を予定しており、各病院の緊急時の妊産褥婦への対応についての特性と課題を検討する。本調査は保健省としても非常に関心の高い分野であることから、保健省を通じて各施設への調査協力依頼のレターや質問票を送付してもらうことが取り決められた。研究チームは保健省と連携を取りながら、月例で開催される病院長の集会および産科医の定例集会への参加、各施設の個別訪問等を通じて、研究の重要性を説明しながら調査協力を仰ぎ、研究を推進していく予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2015 Other

All Presentation (1 results) Remarks (1 results)

  • [Presentation] 分娩第1期・第2期のオキシトシン投与は、産後多出血のリスクを増大させるか?エルサルバドル国立産科病院における症例対照研究2015

    • Author(s)
      笹川 恵美
    • Organizer
      第30回日本国際保健医療学会学術大会
    • Place of Presentation
      金沢大学角間キャンパス
    • Year and Date
      2015-11-21 – 2015-11-22
  • [Remarks] 東京大学大学院 医学系研究科 健康科学・看護学専攻 母性看護学・助産学分野

    • URL

      http://midwifery.m.u-tokyo.ac.jp/

URL: 

Published: 2017-01-06  

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