2015 Fiscal Year Annual Research Report
カレン難民の移動と定住をめぐる日常生活実践―映像ドキュメンタリー制作に伴う考察
Project/Area Number |
15H06294
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
直井 里予 京都大学, 東南アジア研究所, 研究員 (50757614)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | カレン難民 / 映像ドキュメンタリー / 日常生活実践 / 第三国定住 / タイ / ビルマ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ビルマ・タイ国境における難民キャンプ及び、第三国の定住地で生活する難民の移動と定住をめぐり申請者が自ら作成したドキュメンタリー映像を事例に、(1)ドキュメンタリー映像の対象となったカレン人難民の日常生活実践を明らかにし、 (2)ドキュメンタリー映像がその対象とした事象をいかにとらえうるか自己再帰的に考察し、ドキュメンタリー作品制作における撮影・編集・上映の諸段階をとおした「撮る者―撮られる者」の関係の動態を分析することである。 平成27年度は、ビルマ・タイ国境における難民たちの生活実践とコミュニティ形成の分析と生活実践に繋がる傍証収集を行った、そして、これまで撮影した映像を編集し、60分の映像(タイトル『OUR LIFE2 僕たちの生きる道 第一部 夢の終わり―ビルマ難民ダラツー君の闘い(仮)』を完成させた。完成した映像は、大学の講義や研究会などで上映を開始した。 また、制作したドキュメンタリー作品制作における撮影・編集の諸段階を通し、リアリティ表象における映画作成者の視点を論じるために、映像を自己再帰的に分析し、「撮る者―撮られる者」の関係の動態を分析した。さらに、カメラが撮影対象者の生活空間に入り込むことにより、彼らの日常生活や社会関係にどのように影響し、現実がどのように立ち上がったのか、撮影者の視点と撮影対象者の視点が交差する中で現実が生起する過程に着目し、現実の生成プロセスを分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は、ビルマ・タイ国境における難民たちの生活実践とコミュニティ形成の分析と生活実践に繋がる傍証収集を行い、これまで撮影した映像を編集し、60分の映像(タイトル『OUR LIFE2 僕たちの生きる道 第一部 夢の終わり―ビルマ難民ダラツー君の闘い(仮)』を完成させた。完成した映像は、大学の講義や研究会などで上映を開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の2年目は(平成28年度)は、第三国定住地(アメリカおよびイギリス)における難民たちの生活実践とコミュニティ形成の分析と生活実践に繋がる傍証検証を行う。 得られた結果を基にして、調査中に撮影した映像を編集し作品(「OUR LIFE2 僕たちの生きる道 第二部」を制作し、一部と併せて上映を開始する。そして、上映における観客のの相互行為(質疑応答やディスカッション)によって、映画がどのように解釈され、申請者や主人公たちにどのようにフィードバックされるのか考察する。 さらに、それらの成果を学会で発表し、研究者との意見交換を通して議論の深化を図る。あわせて研究成果を論文・研究ノートとしてまとめて公表準備に入る。
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